67,アーダ、喜び勇んで拷問モードPART2。
閲覧注意。ちょっとグロです。
──アーダの視点──
「というわけで、人質を寄こせ」
アーダが右手を差し出すと、頭をかかえていたタルジが言った。
「ふざけるなよ! 寄こせと言われて、ほいほい渡せるか!」
「よく考えてみろ、【三魑魅族】。その人質には、もはや何の利用価値もない。師匠にとって、その人質はゴミ以下なのだからな。
私は親切心から、そのゴミを引き取ってやろうというのだ。なんという善良さだろう! だから寄こせ殺すぞ?」
唖然とするタルジ。しかし最後には人質を閉じ込めた水晶玉を放ってきた。
「水晶玉を割れば、閉じ込めた人質が出てくる。僕はもう知らん帰る!」
ふてくされた様子で、タルジが帰って行った。
一方アーダは、先ほど見つけた個室に向かう。ここを自分の部屋とすることに決めたのだ。
ふいに脳内から、イチゴの声がしてきた。
〔やっほーです、アーダさん〕
〔師匠の案内係か。さては貴様、師匠の脳内から無許可で出てきたな?〕
〔アーダさん、楽しそうなことをしようとしていますね? それで遊びに来ました〕
〔まぁいいだろう〕
アーダは水晶玉を部屋に置いてから、≪万里の長城ダンジョン≫内を移動。
目指したのは、第1524階層。この階層を支配していたのは、不潔で有名なオークどもだ。
ここでアーダは、『ある生物』を大量に捕まえた。
そして部屋に戻り、水晶玉を壊した。
現れたのは、育ちの悪そうなJKだ。目つきが悪いし、歯並びも悪い。
「うわぁ~。なにここ? 陰気臭いんですけど」
しかもアーダの新しい部屋を、いきなりディスってきた。
アーダは、この女を『腐れJK』と命名。本名など知りたくもないので。
「貴様、よく聞け。我が師匠を陥れた罪は、あまりに重い。しかし──しかしだ。私は貴様にチャンスをやろう。師匠に土下座し、師匠の靴を舐めて謝罪するのならば──ラクに殺してやろう」
アーダの寛大なる条件に対し、『腐れJK』が言う。
「はぁ? なんの話してんのか意味分かんないんですけど。つーかお前なんだよ、ウゼぇな」
怒りで血管がドクドクいう中で、アーダは何とか冷静に言ってみた。
「かつて貴様が痴漢冤罪で陥れた北条尊人の話をしているのだぞ、私は」
「つーか冤罪ってなんだし? その北条とかいうオッサンが、アタシに触ったんでしょ? マジでありえないんですけど。慰謝料よこせって話だし」
「貴様のようなブスを、好き好んで触る者がどこにいるのだ。なめてるのか?
貴様が陥れたせいで、師匠は全てを失い【樹海ダンジョン】へ。そしてステータス∞を手にして……ふむ。おかげで、私は師匠と出会えたのか。
だが、やはり貴様の所業は許せん。そして反省を微塵も示さぬ、その態度。我慢の限界だ」
アーダの脳内で、イチゴがテンションを高める。
〔やっちまいましょう、アーダさん! 切り刻んじゃいましょう!〕
〔黙れ、案内係。私のチェーンソーで、こんな薄汚れた人間を刻むはずがないだろ。穢れる〕
〔え? じゃ、どうするんです?〕
〔こうする〕
アーダは足払いして、『腐れJK』を転ばせた。
『腐れJK』が手足をばたつかせて怒鳴る。
「なにしやがんだよ、このクソ女! つーかお前人間じゃねぇだろ! 臭ぇんだよ!」
「私は臭くない。自分で言うのもなんだが、私の汗は果物の香りがする」
アーダは第1524階層で回収してきた『ある生物』を100匹、『腐れJK』の上に落とす。
『ある生物』の正体は、ゴキブリ。
そしてダンジョンのゴキブリには、ある特性があった。
生物の皮膚を裂いて、その中に入り込む性質が。温かさを求めてのことだ。
「な、なんだよこれ、キモチ悪、って、うわぁぁぁああ!」
『腐れJK』の視線が、自分の右腕へ。ちょうどゴキブリの一匹が、皮膚の下に潜り込んだところだった。
ゴキブリのサイズに、皮膚がぽこりと盛り上がる。それがカサコソと走り出した。物凄い速度で、『腐れJK』の鎖骨あたりまで駆け上がる。
「ぎゃぁぁあああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! なんだこれぇぇ取れぇぇぇぇ取ってとって、とってくださいぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
「自分で取るんだな」
そう言って、アーダはただのナイフを放った。
半狂乱になった『腐れJK』がナイフを取り、切っ先でゴキブリを突き刺そうとした。しかし外す。かわりに自分で、自分の鎖骨下を突き刺すことになった。
「痛ぁぁぁぁぁぁあぁ!!」
だが痛がっている場合ではないのだ。
すでに100匹のゴキブリは『腐れJK』の皮膚下に入り込んで、気持ちよさそうに這い回っているのだから。
そのうち一匹は、『腐れJK』の顔の下を歩いている。
「マジ無理マジ無理ムリ無理蟲ムリ蟲蟲蟲蟲ぃぃぃぃい!!」
右頬をざっくり切り裂いて、そこにいたゴキブリを引きずり出す。ところが指がすべって、ゴキブリを逃がしてしまう。
そのゴキは、『腐れJK』の右眼球に飛びついた。そして眼球の裏側へと、するすると潜り込んでいく。
「いぎゃぁぁぁああああぁぁぁぁ!!!」
反射的に『腐れJK』が、ナイフの切っ先を右眼球に突っ込んだ。その裏側に入り込んだゴキを取るため、まずは眼球を抉りだす。
そして抉りだしてから、とんでもないことをしてしまったと気づいたらしい。
「アタシの目ん玉がぁぁぁぁあああああああああああ!!!目ん玉目ん玉目ん玉ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
これで正気を完全に失った『腐れJK』。それからはナイフで、ゴキブリたちを突き刺しにかかる。
すると、どうなるか。
ゴキたちは『腐れJK』の皮膚の下にいる。よって『腐れJK』は、自分で自分の全身を突き刺しまくることになった。
「痛ぁぁぁぁい蟲死ねぇぇぇぇ痛ぁぁぁぃぃぃぃぃぃ死ね死ね死ね死ねねねねぇぇぇぇええぎゃぁぁぁぁぁぁぁああ!!!」
「ほう、『腐れJK』。自分で自分を罰しているのかな? いい心がけだ」
〔うーむ、アーダさん。さすがタケト様の愛弟子なだけはあります。すがすがしいまでの鬼畜ぶりですねぇ。惚れちゃいそうですっ! けど私にはタケト様がぁ~〕
〔黙ってろ案内係〕
血まみれになった『腐れJK』が転がっていく。やがて部屋のドアの前で止まった。
★★★
──主人公の視点──
イチゴの奴が消えやがった。おそらくアーダの脳内に移動したのだろう。
「あのバカが。用事があるときに限っていないんだからな」
〈探索〉でアーダの居場所を確認。ダンジョン内の個室にいるようだ。女子の部屋内に、いきなり瞬間移動するわけにもいかないか。
そこで部屋前に瞬間移動してから、ドアを開けた。
「おーい、アーダ。入るぞー」
踏み出した右足が、何かを勢いよく踏みつけた。
足元から、グチャリ!という軽快な音。
「しまった、何か踏んだ」
見下ろすと、血まみれの女が転がっていた。
おれはその頭部を、思い切り踏みつけてしまったらしい。
原型を留めていない頭部から、右足を持ち上げる。
靴裏に、眼球がくっ付いてきた。
「誰だ、この女は? 顔が潰れていて分からないが──悪いことしちゃったか?」
アーダが答える。
「師匠は当然のことをしたまでだ」
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