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57,弟子をカード化されたので、気合い入れてボコりに行く。


 ──主人公の視点──


〈冬宮殿〉の拠点を襲い、構成員たちの皮を剥いでいた時──


 ちなみに、なぜ皮剥ぎ作業をしていたかといえば。

 この拠点にあるはずだったダイヤが、また移動された後だったため。その腹いせに、構成員たちの皮を剥いでいたわけ。


 とにかく、アーダが〈封印遊戯モンスター・カード〉でカード化されたことを感知した。

 どうやらドロシーの仕業らしい。


〔あの女、おれの弟子をカード化しやがった。もう許さん。頭の皮を剥ぐ〕


〔タケト様、皮を剥ぐのに凝っているんですか?〕


〔何でもいいが、ドロシーを仕留めに行くぞ。一応は、アーダは弟子だからな。とくに何も教えたことはないが。

 だが問題は、ドロシーに勝てるか微妙ということか。しかも勝てたとして、果たしてこの地球は無事なのか〕


〔地球を破壊せずに勝つには、もう余裕の勝利しかないですね。無双するしかないですよ、タケト様〕


〔同じステータス∞なんだぞ。ドロシー相手で無双はムリだろ〕


〔ですから、タケト様。今からアレをやるしかありません〕


〔アレってなんだ?〕


 おれの脳内から、イチゴが出てくる。

 すらりとした肢体、豊かな胸、雪のように白い肌。纏っているのは、純白の薄い衣だけ。虹色の髪は、身長の数倍も長い。


 見た目だけは、すごい美人なんだよなぁ。


 イチゴの切れ長の目が、オレを見据えて。


「タケト様、アレとは修行パートですとも!!!」


「バカ言え。そんなメンドーなことができるか。だいたいステータス∞なのに、これより『上』があるのかよ。ないだろ」


「その発想が間違いですよ、タケト様。よろしいですか。∞とは『限界値』ではありません。『無限の可能性』を意味しているのです。タケト様が信じる限り、その力はどこまでも増大していくのです」


「へえ。だが修行パートに入ったら、何百万時間もかかるんじゃないか?」


「5分でいけます。そうです、どん兵衛の時間で充分ですとも」


「……で、どうするんだ?」


「そこで腕立てしてください」


 イチゴの指示に従い、大人しく腕立てを始める。するとイチゴの奴が、背中に座ってきた。


「なんだお前?」


「集中してください、タケト様。あなたの腕立て一回は、ただの腕立て一回ではありません。このイチゴに鍛えられた腕立て一回なのです。それは()()()()()()()()()()()()()()()()なのです。そんな腕立てを何回もし続ければ、天文学的な経験値を獲得することになるのです」


 よく分からんが、まぁ続けるか。


 かくして──5分後。

 修行パートが終わったので、瞬間移動でドロシーのもとに向かう。


 ★★★


 ドロシーは空中にいたので、おれも転送と同時に《飛行フライング》。

 高度50メートルというところか。


 ドロシーはおれの出現にも驚かず、うっとりしたように言う。


「ああ、北条さん。わたくしを迎えに来てくださったのですね?」


「そんなわけがあるか。人さまの弟子をカード化しやがって。それに──」


 地上に転がっている数多の死体を指さして、


「おれが言うのもなんだが、あんたは人間もモンスターも殺しすぎ」


 ドロシーは少女のように微笑んで、


「だって──わたくしを止められる者が、誰もいませんから。北条さん、あなたも例外ではありません。いくらあなたがステータス∞だからといっても、わたくしには届きませんよ」


「そうかな?」


「そうでしょう? わたくしがこうするだけで、全ては消えてしまうのですから──あなたとわたくしを抜かしては」


 ドロシーが両手を近づけ、《宇宙破壊(アンチ・ビックバン)》を発動しようとする。

 おれは《神速(ゴード)》で接近してから、《宇宙破壊(アンチ・ビックバン)》のエネルギーの塊を奪い取る。


 そしてエネルギーが解き放たれる前に、握りつぶした。


 ドロシーが唖然とする。


「……あの。いま、なにをされたのですか?」


「見たまんまだよ。握りつぶした」


「……不可能です。《宇宙破壊(アンチ・ビックバン)》は、防御力∞さえも圧倒する。そんなエネルギーの塊を握りつぶして、無事で済むなんて。そもそも握りつぶすという概念が、意味不明ですよ!」


「イチゴのガチ修行を終えたおれには、余裕なことだ」


 きょとんとするドロシー。ちょっと可愛い。


「……修行されたのですか?」


「ところでドロシーさん。あんたは気づいているのかな? すでにおれのパンチを、あんたは100億回も食らっているということに?」


「北条さん。そのような笑えない冗談をおっしゃられても困ります。あなたからパンチを受けた覚えはありませんし、何より100億回とは。あまりに荒唐無稽すぎて、わたくしには──」


 瞬間。ようやく『100億回パンチ』のダメージが、ドロシーの全身に襲いかかる。


 はじめは顔面からゆっくりとしたペースで、


「痛っ。な、なんでしょう。いま顔を殴られたように、痛い──え、痛みですか? 防御力∞なのに」


「おれのパンチは、あんたの防御力∞を超越した」


「そ、そんなことが、痛っ、痛い、痛っ! 痛っ痛っ痛っ痛っ痛っ痛っ痛っ痛っ!!! きゃぁぁぁぁぁあああああ!!!!」


 顔面集中フルボッコから、全身へのフルボッコ・コースへ移行。


「ま、まって、くださ、と、とめて、痛いの! 嫌い、嫌い! 痛い、とめ、で! あぅぅぅぅぅぅぅぅぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁあ!!!!!」


 ドロシーが大地に叩きこまれる。

 だが、まだ約98億回分のパンチが残っているぞ。


 頑張れドロシー君。


「うわぁぁぁぎゃぁぁぁぁああ!!!痛、助け、こんなの無理ぃぃぃぃい!無理で、すからぁぁぁぁぁああぁぁぁ!!あぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ壊れちゃ壊れるぅぅぅぅぅぅぅうう………!!!!!」


 78分後、ようやく100億回パンチが終了。


 大地にめり込んでいるドロシー。

 全身を複雑骨折しているようだが、まだ原型は留めている。


 では仕上げ。


 天空より東京タワーくらいある巨剣を召喚。新スキル《巨剣躾(ハッピー・ライフ)》だ。

 

「さぁ、行ってみよう」


 巨剣をドロシーさん目掛けて落とす。


 何とか立ち上がろうとするドロシー。

 そこに巨剣の切っ先が、突き刺さる。


「あぎゃっ」


 ぷちゃりと、ドロシーの体が潰れた。


〔よしよし、死んだかな?〕


〔残念ながら、ドロシーは死なんですよ。あれは不死の生き物です。すぐに復活しますよ〕


〔じゃ、これだな〕


封印遊戯モンスター・カード》を発動。

 ドロシーのカード化に成功。


 同時に、ドロシーが《収納ストレージ》していた中身を没収。


 その中には、アーダのカードもあった。


「アーダ、待たせたな」



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― 新着の感想 ―
[良い点] あーそんな軽々と…もうちょっと話引き伸ばせそうだったけどねぇ まぁこのくらい速攻なのもいいね(・∀・)b
[良い点] テレポやらなんやらするためにモンスター化してたからカード化されるという弱点が出来てたのか 上手い話には罠があるとはよく言ったもんだ
[一言] あらら、無限大を上回る無限大パワーのマンチキンとカード化でまさかのドロシーの速攻撃破の展開には驚いた(遊戯王かな?)。 結局、何がしたかったのか肝心なことがわからず終いか。 とりあえず、当面…
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