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48,セロトニン不足だが、モンスター溢れるマンハッタン島を征く。


                    ──マンハッタン島──


 マンハッタン島はモンスターの巣窟となっていた。


 まぁどこにでもモンスターがいるのが、いまのご時世なのだが。


 とはいえ、マンハッタン島はモンスター密度が凄い。米軍による爆撃攻撃もあったそうだが、島全体は魔法障壁で蔽われており失敗。

 なので、ソフィアを連れてマンハッタン島へ潜入するために、いくつかスキルを使った。


 島内に入ったところで、ソフィアが説明。


「すでに潜入している冒険者によると、ストリアは≪マンハッタン・ダンジョン≫を根城にしつつ、外のモンスター軍を指揮しているそうよ」

 

 そいつは魔法障壁が張られる前に、潜入に成功したらしい。


「モンスターどもは、ダンジョンと地上を好きに出入りできるのか」


「どうなのかしらね。他のモンスターが、ダンジョンと地上を出入りしている目撃は上がっていないけれど。ストリアだけのユニークスキルとか?」


「またはストリアの手元に、モンスターを地上に出すキッカケとなった【埋もれた兵器(ロスト・ウェポン)】があるのかもなぁ」


「そう思う? それならストリア撃破=世界を救うことになるのかしら?」


 世界を救うモチベーションに入るソフィア。やる気になるのは結構だが、どうだろうね。ここに全ての元凶である【埋もれた兵器(ロスト・ウェポン)】があるとして、それを守護するのはストリアだけなのか。


〔イチゴ。ここにドロシーとかいう女がいた場合、おれはどうしたものだろうか〕


〔と言いますと?〕


〔いやね。初心にかえるならば、ドロシーこそがおれを殺してくれる相手な気がしてきた。一方で、わざわざ殺されるのも疲れたというか。早く引きこもって全てを忘れ去りたい〕


〔タケト様、地味にうつ入ってませんか~? セロトニンが足らんですよ。ちなみに解説しますと、セロトニンとは脳内で働く神経伝達物質のひとつでーす。これが欠乏するとうつになりますぜ〕


〔セロトニンなぁ、セロトニン。さてはお前、おれのセロトニン食らって生きているんじゃないだろうなぁ?〕


〔なに言っているんですか。タケト様と出会ったとき、あなたはもう自殺志願者だったでしょ。セロトニン残量0だったでしょ〕


〔モンスターとか殺しているときはセロトニンが少し増える気がする〕


〔殺戮ハイという感じじゃないですか?〕


〔殺戮ハイかぁ。マンハッタン島にいるモンスター皆殺しにしたら、おれも少しは前向きな男になれるのかな。人生の明るい面を見て生きられるようになるのかな〕


〔じゃ、やってみます?〕


〔まてよ。それがだるい。動きたくない〕


〔セロトニーン! タケトさまのセロトニーン!〕


 ひとまず潜入中の冒険者と会うことになった。

 モンスターがウロウロしている島内を進むにあたって、ソフィアは《迷彩ステルス》スキルで自らを隠す。おれも付き合うか。


〔タケト様、メタル〇アみたいですね〕


 案内係のくせに何でメタル〇アを知ってるんだか。考えてみると、イチゴは地上のことに詳しい。冒険者と接触する役割だから勉強したのか。冒険者の記憶から学んだのか。または──または何だ?


〔どちらかというと、メタル〇アに影響を与えた映画のほうだろ。マンハッタン島が丸ごと刑務所になっている映画〕


 こちらは、囚人のかわりにモンスターが溢れているわけだが。


 摩天楼のひとつで、潜入冒険者と会う。こちらも《迷彩ステルス》を発動していたが、対モンスター設定なので、同じ冒険者には発見できた。


「あたしはソフィア。こちらは北条さん」


「俺はローレだ。よろしくな。ストリアの首を獲りにきたんだって? たった2人で無謀な話だな」


「正確には北条さんが仕留めるのだけどね」


 ローレが、おれのステータスを覗き見しようとしてきた。無礼な奴だな。もちろん見せてはやらん。


「そうかい。とにかく現在、ストリアは≪マンハッタン・ダンジョン≫の中だ。ただ最深部まで降りているとは思えんな。おそらく第1階層に前線基地を設けているんだろうさ」


≪マンハッタン・ダンジョン≫の入り口は、ブロードウェイの途中にある。

 ブロードウェイもいつになく騒々しいことだろう。ミュージカルのお客はモンスターだが。


「人々の脱出状況は?」


「いまは各建物で、脱出できなかった人々が協力して籠城している。救出作戦を立てようにも、アメリカ全土が大災害にあっているようなものだからな。それにココにいるモンスターは、S級の化け物どもだ。簡単にはいかんよ。

 ただ不幸中の幸いは、モンスターどもがさほど人間狩りに興味を示していないことだな。奴らには、ほかに何か目的があるようだ。それが掴めればいいんだが」


 おれはローレを眺めながら、《盗み聞き(メンタリスト)》を使ってみた。さほど深い意味はなかったのだが──。

 とにかく《盗み聞き(メンタリスト)》では、人の心の声を聞くことができる。


『この身の程知らずの冒険者どもが、ストリア様を殺そうなどと冒涜にも程がある。とっとと殺されやがれ』


 なんだ、こいつ裏切り者か。


探索サーチ》をかけると、地下を何かが物凄い勢いでやってくる。

≪マンハッタン・ダンジョン≫のフロアボス格かな。


 さらにそれに続くようにして、地上を何千ものモンスター軍が向かって来るではないか。


〔おお、セロトニンが来る〕



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