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33,終わりが近いと、終わったあとのことを考えるものだ。

 


〔とにかく、戦艦≪樹海≫が破壊されたのならば、だ。ソフィアを早め早めで救出してやらねば。あいつ、真空だと死ぬタイプの人間だから〕


 脳内のイチゴが応える。


〔基本的に、人間は真空だと死ぬと思いますけどね。まぁソフィアさんのことより、まずは目の前の敵を撃破することですよタケト様! 【神臣人】とはお笑い軍団と思っていましたが、それなりにやる連中ではありませんか。タケト様の有終の美をかざるにふさわしい敵!〕


 有終の美ねぇ。別にそんなものを飾りたくはないが、【神臣人】とか唯一神をどうにかしたら、もうこの宇宙でやることもなくなるんだよなぁ。あれ、なんか燃え尽き症候群の臭いが、いまからプンプンするんだが。


〔まてよ。おれは有終の美をかざったら、その後はどうするんだろう? やることがなくなる問題〕


〔ふむ。では、初心にでもかえったらどうですかね?〕


〔初心………………あれ。おれって自殺しようとしていなかったっけ〕


〔タケト様! 生きて、タケト様! 生きるのです! 生きることは素晴らしい!! 『SBストロベリージャパンはこの活動を支援しています』です〕


 まぁ、とりあえず目の前の【神臣人】2体を片付けて、ソフィアを助けてやってから考えるとするか。

 ところで──先ほどから、おれは巨大JKに踏まれまくっている。防御力∞のおかげでノーダメージだが。


 とはいえ、この巨大JKもまた、いくらダメージをくらっても、すぐにモブJKを使って補修されるのだろうな。

 これは妖魔タイゼンを潰さねばなるまい。

 だが妖魔タイゼンは、複数の肉塊へとなり、この《箱庭世界》の全域へと散らばっている、これでは全てを破壊するのが一苦労そうだぞ。


 ひとまず巨大JKの右足の踵をつかんで、ぶんぶん振り回してから、投擲した。これでしばらく、JKに踏みつけられるという、変態ならば喜びそうな構図から解放されるだろう。今のうちに、手を考えるか。


〔やはり、この《箱庭世界》そのものごと、全破壊するのが手っ取り早いか。そろそろ元の宇宙に戻るときが来たようだ〕


〔そんなことが可能なんですか、タケト様?〕


〔ふむ〕


 まぁ考えよう次第だろ。《箱庭世界》というスキルは一見、鉄壁に見えないこともないが──たとえば、おれの《プログラム破壊》系統のウイルスを、《箱庭世界》を構築する領域に侵入させてみたならばどうだろうか。《箱庭世界》そのものを書き換えてくれよう。モブJKばかりの世界から、もっとおれの居心地のいい世界へ───


〔あ、タケト様! ワンちゃんがいっぱいです!〕


 モブJKの存在を、モフモフした犬に書き換えたのだ。これによって《箱庭世界》の前提が崩壊し、この擬似世界そのものが吹き飛んだ。


「おっとっ」


 吹き飛んだ先が宇宙空間。目の前を、妖魔タイゼンの肉塊が飛んでいく。《箱庭世界》が消滅したことで、妖魔タイゼンも仕留めやすくなった。


 おれは《ゴミ箱》スキルを発動。指定したゴミを、このスキルで創り出したゴミ箱へと吸収する。すなわち、妖魔タイゼンの肉塊たちだ。


「吸い込み完了。あとはゴミ箱内で焼却するだけだな」


〔ゴミのリサイクル精神に唾吐くタケト様、アウトローです〕


 いやいや、妖魔タイゼンの肉なんか、どうしたらリサイクルできるんだ。業火に焼かれる妖魔タイゼンが、ゴミ箱の中から悲鳴を上げていた。

「ギャァァァァァァァァアアアアアアア!!??? や、焼けるゥゥゥゥゥゥゥウウウウウ!!??? そんな、この我があぁぁ神ガァァァァァァァァァァァァアアアア!!??」と。


 さらばだ。なんかグロい【神臣人】よ。


 見ると、汐里と葉桜が宇宙空間の中、激しく切り結んでいる。まさしく互角。

 葉桜は自分の《箱庭世界》が破壊されたことにも、気にしている余裕はないようだ。


 では──おれは宇宙空間を漂っているはずのソフィアを探した。だが宇宙を漂うは、戦艦≪樹海≫の残骸のみ。おかしいな? ソフィアは、まさかだれかに連れていかれたのか?


〔あ、タケト様。『何』かが着ますよ〕


《πダンジョン》のほうから、女が猛スピードで飛んでくるではないか。イチゴと雰囲気が似ている、癪だが美女が。


〔あ。あれは私の大親友ヨウナシ!!ですよ、タケト様〕


 ヨウナシ。すなわち、唯一神とやらか。


〔イチゴ。大親友だと思っているのは、向こうだけのようだぞ?〕


〔案内係仲間として、恥ずかしい限りですね〕


 唯一神ヨウナシが、おれの目の前で止まった。


「北条尊人。あなたは、この宇宙でやりたい放題してきたようですね。それでも地球規模で遊び回っているうちは、可愛いものでした。私も〈無神ジエンド〉の傍から、面白い見ものとして楽しんできました。ですが、さすがにやりすぎでしょう? あなたの暴走は、目にあまります。この宇宙を創造したのが、誰だか分かっているのですか北条尊人? この私ですよ。この私が、この宇宙を創造したのですよ」


〔え、そうなのか?〕


 と、脳内のイチゴに確認を取ってみる。

 役立たずな案内係であるイチゴは、


〔さぁ、知らんです。私はタケト様が、戦艦5000年ローンを組んだ衝撃で、頭が一杯でして〕


 いや、戦艦5000年ローン組んだのは、お前。というか蒸し返すな、せっかく忘れていたのに。


 唯一神ヨウナシが、両手を広げる。

 そして優雅な所作で、その手を重ね合わせた。握りつぶすが、ごとくか。


「北条尊人。この私、創造神であり唯一神であり、〈不滅の冥王〉として命じましょう。あなたの存在を『なかったこと』に致します。存在しなかったものが、私の宇宙で暴れることはできないでしょう。さぁ、消え去りなさい、北条尊人。究極のスキル《存在無効》!!」


 脳内では、イチゴが珍しく、本気で焦り出す。


〔タケト様、これはヤバいスキルです、マジでヤバいやつでヤバいものがぁぁぁぁぁ!!!〕


 唯一神ならば、本当におれの存在をピンポイントで『なかったこと』にできるのか? だとすると、おれでも歯が立たぬ相手だが………


 まてよ。おれの存在が消滅したら、5000年ローンも消滅する……あ、くそ。イチゴのせいで、最後の最後までアホなことを考えてしまった───


 そして、行くぞ、無。


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[一言] この作品いつになったら終わるのですのですか?ちゃんと風呂敷畳んで終わらせてください
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