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29,JK地獄in箱庭世界。

 


 セーラー服を着ている少女──すなわち、何かと縁のある『見ず知らずのJK』が、言うわけだ。


「ふーん。あんたが北条尊人ねぇ。よろしく、あたしは言うなればそっちの大先輩だから。そこのところよろしく」


「JKが先輩風を吹かすとは世も末だ」


 するとセーラー服JKが、小ばかにしたようにクスクスと笑う。


「わかってないなぁ。この宇宙が、前にしか進んでいないと思ってるの? これだから、おじさんは頭が古いんだよねぇ。いいかな。この宇宙にだって輪廻転生があるわけ。あたしはね、『ひとつの前』の宇宙線で、女子高生だったわけ。そして、そこで異世界転移し、コツコツレベル上げして、ついに【神臣人】の一員となった。こう見えて、あたしは地道プレイが嫌いじゃないから」


 汐里と似たパターンだな。しかし『ひとつの前』というのは、いったい何百億年前の話だ? ただ一つ言えるのは、このセーラー服JKもまた【神臣人】の一体ということか。


「まぁなんだっていいが。お前、まさかうちの案内係を拉致した関係者か? 大人しく返しなさい、そうしたらお仕置きは緩めにしてあげるから」


「あたしをルガロやブラフマーと同列に考えないでね。あたしはくぐってきた修羅場の数が違うよ~。あたしの名は、葉桜。あんたの弱点、一発で見抜いたかんね」


 葉桜の手元に刀が召喚される。いまさら刀ごときで、どうこう言う気はないがね。鞘から抜かれる刃、しかしすぐさま鞘に戻される。そのさい、かーんという甲高い音がした。この音を聞いていると────


 気づくと、まったく異なる世界にいた。なんだ幻覚か? それとも強制瞬間移動か? または──。


「おじさん、そこ邪魔」


 邪魔とは失礼な。振り向くと、見るからにJKが3人立っている。なんというか、例の『すべてのおっさんは不潔』的な目で見てきている。なんだかなぁ。別に攻撃されたわけではないから、何かできるわけでもないし。


「それは失礼」


 一歩横にどいた──ところ、


「うわ、ぶつかられた! 最悪、このおっさんにぶつかられたんだけど!」


「はぁ?」


 と、見ると別の女子高生グループがいた。どうやら一歩どいたときにぶつかってしまったらしいが。

 いや、ちょっとまて。なんで気配を感じなかったんだ? ステータス∞の察知能力はどこにいった。頭を振ってから周囲を見回すと、どんどんJKが増殖していく。なんだこれは。妙に甘い匂いがしてきたが、これは吐くやつだ。


 どこからともなく声がしてくる。葉桜の声だ。


〔あたしの《箱庭世界》にようこそ。そこは偽りの世界。だけど、凄くリアリティがあるでしょ? 少なくとも、あんたの中では、そこで起こることは真実。そしてね、北条尊人。あんたの箱庭世界には、あんたと無限の女子高生しかいない〕


「無限の女子高生……なんだ、それは。なんか凄くゾッとする」


〔つまりさ、JK地獄だよ〕


「こんな遊びに、付き合いきれるか」


 飛行スキルで飛び上がり、まずは高度を上げて周囲を見回す。《箱庭世界》が造り出す偽世界は、おれの記憶から情報を取り出しているのかもしれない。というのも、どうも地球崩壊前の新宿に似ているので。

 とにかく空高く飛んで、宇宙に出てみるか。だがその途中で、何か『見えない壁』にぶつかった。これが《箱庭世界》の境目だな? では破壊するとしよう。《闇黒打拳》スキル発動。攻撃力∞に闇黒次元の効果+の拳連打。


 ふむ。ビクともしない。物理と魔法の両面からの攻撃だったのに。

 では破壊は諦めて空間転移で、出るとしよう。《箱庭世界》の外へ空間転移──あれ。失敗した。


 またも葉桜の声がしてきた。


〔あたしの《箱庭世界》から脱出する方法はただひとつ。《箱庭世界》にいる『住人』を全滅させること。つまりさ、あんたの箱庭世界の場合は、まさしく女子高生。無限のJKを全滅させることができたら、脱出できるからね~。それができないと、永遠に閉じ込められたまま〕


「無限増殖するのにどうやって全滅できるんだ?」


〔そこは自分で考えなよ。じぁあね~〕


 つまり増殖が発生する前に、一気に全滅まで追い込めばいいわけか。リストから全体攻撃系を選べばいい。単純明快。


 いやしかし、まてよ。果たして、おれはここでJKを全滅できるのか? これまで、何かと大量に屠ってきた気もするが──あえて意識すると、とくに罪のない(?)JKを全滅させるのは、なんか鬼畜っぽいような。

 だけど、ようは《箱庭世界》が創り出した無限JKだろ? だから別に構わないような気もするし。しかしなぁ、うーむ、早くソフィアにコーヒーを届けてやらねばならぬのに迷う。


 などと珍しく悩んでいたら、汐里が空間転移してきた。


「おじさん。やっと見つけたー。ねぇ、アーダさんと私、どっちが一番弟子なのかハッキリしてよ」


《箱庭世界》は出るのはともかく、入るのは空間転移で可能というわけか。『出ることはできない』という縛りの裏をついてきたわけだな汐里、当人は自覚なさそうだけど。


「あれ。ここ新宿?」と汐里。


「んなわけがあるか。お前が空間転移してきてしまったのは、葉桜という【神臣人】が創った《箱庭世界》だ。いや厳密には、《箱庭世界》がおれの記憶をもとに創った偽世界、だな。とにかく、ここから出るためには、この偽世界にいるJKを全滅させないといけないらしい」


「あ、そんなことでいいの? 別に、本物じゃないんでしょ? ニセモノの生命体、それなら──《光の槍》!!」


 巨大な光槍を右手から伸ばして、近くにいたJKたちを一掃してしまう汐里。


「JK仲間なのに!? 容赦ないのか!?」


「おじさん。『女子高生はみんな友達』みたいな妄想いだいていると、本当におじさん認定されるよ」


 え、そうなの? JKって、みんな仲間じゃなかったの?


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