16,Continue to next time。
「ところで、タケト様とドロシーさんって、夫婦喧嘩していませんでしたっけ?」
「細かいことは気にするな」
するとソフィアが、おれの胸元をつかんで揺すぶってきた。
「北条さん、細かくないことを思い出したわよ! 地球が、場外ホームランとか!」
「そうだった」
現在、〈獅菫城〉に場外ホームランされた地球が、《次元の狭間》の彼方へと飛んでいっているのだ。このままでは消滅の危機。
だが、ここで逆噴射をかける(ちなみに逆噴射の犠牲として、この≪万里の長城≫ダンジョンが接続している地点、つまり中国が粉みじんになった。ごめんねー)。
逆噴射によって、地球が、こんどは〈獅菫城〉へ向かって突進。
「このまま突っ込むぞ!」
「やってやれです、タケト様!」
「尊人、夫婦喧嘩はウヤムヤに終わらせるものではありません」
「おじさん、ヒマになったら回復魔法かけて」
「師匠、私にも活躍場面が残っていることを期待」
「パパ、おなかすいた」
「北条さん、地球人代表として、抗議するわよ!! 地球を、大事に!」
いや、まて、コイツら、うるさい。
〈獅菫城〉に激突!!
〈獅菫城〉に大ダメージを与えるも、代償として地球が半分ほど潰れる。
ここでおれは、女どもがうるさいので、〈獅菫城〉内へと瞬間移動。
そのさいイチゴだけが、おれの脳内に飛び込んでついて来た。
〔タケト様、ついにウキウキのラストバトルですね〕
「ウキウキの『ウ』の字もない」
通路の先、〈獅菫城〉の中枢にて。
〈無神〉が宙に浮いて、両手を広げた。歓迎の笑み。
「よく来たな、北条尊人! やはり本元汐里では、貴様は倒せなかったか。ではいまこそ、最終決戦の幕開けだぁぁぁぁ!」
「お前、今から『北条尊人』な」
「は?」
〈無神〉に、『北条尊人』をタグ付け。
「で、こちらに御座いますのが──」
アイテムリストから、黒鵜の黒刀(修繕済み)を取り出す。
「黒鵜の置き土産。北条尊人をマジ斬りできる刀」
〈無神〉が嘲笑う。
「何を言っているのか意味が分から、」
神速+瞬間移動で、〈無神〉に肉薄。
問答無用で、黒刀の切っ先を〈無神〉の口に突っ込む。タグ付けによって、黒刀は〈無神〉を『北条尊人』と認識。
黒鵜の怨念が造った究極の『北条尊人』殺し刀が、〈無神〉に突き刺さる。
「ぐぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、ま、まて、まてまてまてまてまてまてまてま北条ぉぉぉぉ、さ、最終決戦の重みとか、あるだ、だろうがぁぁぁぁぁぁ!!!」
「そんなものは、ない」
柄頭をぶん殴る。
衝撃で、一気に黒刀が、〈無神〉の体内を走り──ケツから突き出た。
「あばよ」
落下し、どさりと倒れる〈無神〉。
殺しておいてなんだが、このやりかたは、ちょっぴり憐れ。
「おれから憐憫の情を引き出すとは、ふっ、なかなかの宿敵だったな」
〔あぁぁぁぁぁぁぁぁ〕
と、いきなり脳内で、イチゴが叫び出した。
「イチゴ、うるさい」
〔記憶がぁぁあぁぁ、封じられていた記憶が、戻ってきましたよぉぉ!〕
「あー、そういえばお前の記憶って、一部封印されていたんだっけ」
〔わたし、とんでもないこと思い出しました。実は〈無神〉の正体って──〕
「……」
〔──────〕
「おいなんなんだよ、イチゴ? 〈無神〉の正体ってなんだ?」
〔ここは、引きです! Continue to next time(次回へとつづく)!!!!!〕




