表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

141/188

2,【終わらせる者】がゴゴゴゴゴ。


 

「訴状なんか見なかったことにしよう」


 異界法廷とやらから送られてきた訴状を、《火炎地獄(ファイガヘル)》で燃やした。別にライターでも燃やせそうだったが、そこは盛大に燃やしてやったのだ。ざまーみ。


「あ、タケト様。そんなことをすると──」


 瞬間、《万里の長城ダンジョン》そのものが揺れた。まるで地震が起きたように。しかし異次元にあるダンジョンに地震など起こらないはず。


 ということは?


「なんだ、いまの揺れは?」


「タケト様、奴らが来ますよ。訴状を破棄した被告を罰するため送り込まれる、【終わらせる者】たちが。

《万里の長城ダンジョン》第1階層に転送されてきたはずなので、猛スピードで降りてきますよ。わたしたちが今いる、この最下層まで。もちろん狙いはタケト様です。ガクブルですね~」


 と言いつつ、冷凍庫からガリガリ君を取り出して食べ出すイチゴ。

 メロン味を……メロン味……イチゴ味ではなく……………………


「【終わらせる者】って、何者だ?」


「何者というか、種族ですね。【超人類】みたいな感じですよ。異界法廷を取り仕切る最高判事が造り出したのです。まぁ廷吏みたいなものですね。異界法廷に喧嘩を売った被告をしょっ引くのが努めです」


「それが降りてくると、ダンジョンまで揺れる衝撃なのか」


 おれもガリガリ君を食べることにする。


 やがて女児的種族たちが駆けこんできた。こっちに戻ってからは、《万里の長城ダンジョン》内に居住スペースを見つけてやったのだ。


「ボス!」

「タケトボス!」

「大変です!」

「やばいです!」

「なんか怖いオッサンたちが」

「攻め込んできたのです!」

「ロリコンかもです!」

「ロリコンはヤバいです!」

「天敵来るです!」


「落ち着け、それはロリコンじゃなくて廷吏だ。異界法廷から送り込まれてきた、【終わらせる者】という種族の廷吏」


 意外なことに、女児的種族たちは【終わらせる者】を知っていた。


「あう、【終わらせる者】ですか」

「誰が訴えられたです?」

「あう、ボスが?」

「ボスのタケトが訴えられたです?」

「訴状を破棄したです」

「命知らずです」

「さすがです」

「【終わらせる者】たちの戦闘力は、【超人類】最強だったアンダルを凌駕します」

「攻撃力が138432500だった、アンダルです」

「惑星破壊レベルの一撃を誇ったアンダルです」

「あれより強いです」

「そんな【終わらせる者】たちを相手どるとは」

「さすがボスです」

「ところでガリガリ君、食べていやがるです」

「食わせろです!」

「食わせろです!」

「ガリガリ君をガリガリさせろです!」


「……好きに食べたら?」


「おお!」

「おお!」

「おお!」

「おお!」

「おお!」


 女児的種族たちが冷凍庫に群がり、ガリガリ君の在庫をぜんぶ持っていった。

 在庫補充したのはイチゴなので、半泣きになっている。


「タケト様……わたしが買い置きしていたガリガリ君たちが……あんまりです」


「女児的種族に見つかった時点で、もう諦めろという話だ」


 ダンジョンを揺るがす地響きが、どんどん激しくなっていく。

【終わらせる者】たちが近づいてきているようだ。


「ふーむ」


「どうするのです、タケト様? もうじき【終わらせる者】たちが、この最下層にやってきますよ?」


「なんだろう。何か、大事なことを忘れている気がする」


「大事なことですか? 状況を整理してみます? タケト様が訴状を破棄したので、異界法廷が【終わらせる者】たちを送り込んできたのですよ。《万里の長城ダンジョン》を、この最下層めざして降りてくるのです。あの女児的種族たちも恐れるほどの敵ですよ」


「それは分かっている。だがもっと大事なことが、大事なことが──」


 ついに【終わらせる者】たちが、おれたちのいる最下層に到着した。


 凄まじい地響きを起こしながら──


【終わらせる者】というのは、全員が男だった。黒い服を着ていて、巨人なみにでかい。体長20メートルくらいか。


 一斉に怒声を上げてくる。


「「「「「ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!! 北条尊人は、ここかぁぁぁぁぁ!! ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!」」」」」


 より激しく最下層が揺れる。


 ハッとした。

 大事なことを思い出した。


 ベビーベッドを見る。

 先ほどまで健やかに眠っていた赤ちゃん乃愛が──この地響きでついに起きている。


 そして、いまにも泣き出しそうだ。


「まずいぞ、イチゴ! 乃愛が大泣きしたら──この地球が崩壊する!!!」


「タケット、なに赤ちゃんのこと忘れているんですか!」



気に入って頂けましたら、ブクマと、この下にある[★★★★★]で応援して頂けると嬉しいです。励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] よなき [一言] つらいネ _(:3」∠)_ 幸せの証でもあるのでンゴゴゴってなりそう
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ