27,「これが奥義:絞殺さ」。
「では、ひとつ。『ドロシーのアンダーヘアは、何色だー?』」
デリーガはぽかんと口を開けた。
「………………………え? いやいやいやいや、まて。それは『なぞなぞ』ではないぞ。なぞなぞの定義とは、とんちを利かせた答えを要求するものだ。アンダーヘアの色などは、なぞなぞではない!」
「馬鹿め。ちゃんととんちは利いている。その証拠に、お前のスキル《なぞなぞ領域》は受け入れたようだ。秒針が動き出している」
30秒の解答時間を示す時計の秒針が動き出しているのだ。
「な、なんだと! まさか、そんな……考えろ。考えるのだ、我!」
デリーガが頭をかきむしりながら考え出す。脳味噌をフル回転させすぎているようで、目玉が飛び出してきた。
「分かったぞ! 答えは『クララが立った』だ!」
「……………………は? どうして?」
「ふっふっふっ。まずアンダーヘアというのが引っかけだったのだ。実は、ハイジニーナ(無毛)だな。すなわちハイジ女子。ハイジといえば、アルプスの少女ハイジ、アルプスの少女ハイジといえば、『クララが立った』だぁぁ!」
ただの連想ゲームじゃねぇか。
「ハズレ~」
「な、なんだとぉぉ!」
「正解は、『髪の毛と同じ色』でしたー」
「なぞなぞじゃねぇぇよぉぉぉぉぉぉぉおお!!!」
デリーガの体が消滅していった。なぞなぞ対決で敗北したことにより、死んだのだ。
そして結晶体にされた人たちが解放された。
たくさんの戦士たちが、自由になったのだ!
「おお! 自由だ!」
「やったぞ! ついに解放された!」
「長いあいだ結晶体にされていたが、これで再攻略に挑める!」
「ありがとう、神様!」
うーむ。イチゴ以外の人たちは、用がないな。
そこで《巻き戻し》を発動し、イチゴ以外をまた結晶体に戻すことにした。
「なぜだぁぁぁ!」
「いやだぁぁぁあ!」
「もう結晶体だけはぁぁぁ!」
「この鬼畜ぅぅぅぅ!」
すべての結晶体は、小箱に入れてから放っておいた。そのうち誰か徳の高い人が来て、解放してくれるかもね。
残ったイチゴが、ハッとする。
「タケト様、なぞなぞ対決に勝利したのですね! さすが知力もステータス∞!」
「まぁな。ドロシーに知られたら宇宙ごと消される勝ちかただったけど。……ところで、イチゴ。お前のアンダーって、レインボー…………まぁ、いいや。次、行こー」
第2階層もまた、大きなフロアにフロアボスが一体という構図だった。
こんどのフロアボスは、ヒト型だが頭部だけは象。その隣には、巨岩が置かれている。
おれたちを見ると、
「ほう。デリーガのなぞなぞ対決を打ち勝ってきたか。その知力だけは褒めてやろう」
「知力∞だからな」
「いまのタケト様ならば、相対性理論もばっちりです!」
「相対性理論は分からないが、因数分解ならいける」
「因数分解ならいけるタケト様です!」
象の頭をしたフロアボスが両手を広げる。
「だが残念だったな! 我の名は、パ! 知力などというひ弱なものに用はない! 全ては暴力、暴力だけが結論を出すのだ! この我と肉弾戦で勝利できるかなぁぁぁあ!」
パが軽く拳を振るうと、巨岩を粉々に吹き飛ばした。
こいつ、このためだけに巨岩を運び込んでいたのか。
「先に行っておこう! この第2階層では、魔法もスキルも封じられているのだ! 戦う武器は、己の拳のみだ! どうだ! この我と殴り合いで勝てる自信はあるかぁぁブギャァアアギャァァアアァァァ!!」
話が長いので、顔面を殴っちゃった。
「な、なかなかのパ、パンチだな、し、しかしその程度では、この我はブギャァァア!!ギャァァジュ!!ギャァアア!!!」
5、6発殴ったところ、顔がただの肉塊になった。
「わ゛、わ゛、わ゛がり゛ま゛じだ。ま゛ま゛げでい゛い゛でず、お゛れ゛の゛ま゛ま゛げで」
「あそう」
おれが背を向けたところ、唐突に殺意を復活させてきた。
「バカめぇぇぇぇ! 敵に背を向けるとはなぁぁぁ死ねぇぇぇぇぇ暗黒拳法:奥義破閃拳ぃぃぃぃぃ」
パの拳を砕いてから腹を裂いて、ハラワタを引きずり出して、首に巻き付けた。で、絞めつける。
「うヴヴヴヴうヴヴううげぇぇぇえ…………!!」
「これが奥義:絞殺さ」
「捻りなしですね、タケト様」
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