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24,1兆回パンチ、誤差は5発以内で。

 


「おれの銅像が立つなら、ドロシー像より大きなものにしてくれ。というか、材質はオリハルコンでよろしく」


 イチゴがおれを小突いて、


「そこ、新妻に張り合わないでくださいよ」


 すっかり低姿勢になった元髑髏皇帝が言う。


「いえいえ、わたくしどもにお任せください」


 せっかく和気藹々としていたところ、黒鵜がなにか怒り出した。


「貴様ら、いい加減にしろ!」


宇宙破壊アンチ・ビッグバン》を解き放とうとするので、おれは神速で接近してから握りつぶした。


「いい加減にするのは、そっちだろ。おれの銅像が建てられる異世界を壊そうとするな。罰当たりものが」


「貴様、オレの話を聞いたのか? 全ては〈絶対神ラスボス〉が描いたシナリオ通りだということに!」


「あー、そういう陰謀論に踊らされるのはどうかと思うよ。おれも昔、ミステリーサークルに騙されたし」


「なんですかタケト様、ミステリーサークルって?」


「宇宙人のメッセージかと思っていたが、人間の手作業ということが判明したんだ。まだ学生のころだったがな。そのとき思ったね、陰謀論とかみんなクソ」


 黒鵜が髪の毛をかきむしりながら、地団駄を踏んだ。そこはステータス∞の地団駄。大地が揺れ、山が崩れた。


「陰謀論じゃないと言っているだろうが!」


 コイツは何が気にいらないんだ。


「だいたい〈絶対神ラスボス〉というのは、〈無神ジエンド〉のことじゃないのか? ごっちゃになってるよ、あんた」


「違う違う! 〈無神ジエンド〉さえも〈絶対神ラスボス〉の手駒に過ぎんのだ! 〈絶対神ラスボス〉を倒さぬ限り、我々に真の自由は訪れない! 〈絶対神ラスボス〉のシナリオの外に出ないことには!」


 イチゴがヒソヒソと言ってきた。


「タケト様、タケト様。この人、ちょっと頭のネジが外れている感じじゃないですか?」


 おれもヒソヒソと返す。


「お前、失礼だぞ。本当のことでも」


「聞こえてるんだよ!!」


 と黒鵜。

虚無球(ボイドボール)》を連射してくる。


 接触すれば防御力など無関係にして、消滅させてくるというスキル攻撃。

 いちいち対処するのも面倒なので、重力操作で全ての《虚無球(ボイドボール)》を一か所に集めて、別次元に送った。


 ここでアーダが動く。蚊帳の外に置かれている感じで、実は不機嫌だったアーダが。


「師匠に何をする!」


 チェーンソーの一撃を、黒鵜が右手の指先で防御。

 さらに《雷蹴(ライジン)》を発動して、ひと蹴りでアーダを吹っ飛ばす。


 その蹴りは山脈も粉みじんにする一撃で、アーダのHPが3256879から2658まで下がった。


「アーダさん、ステータス∞と連戦ですね。気の毒に」


「バトル漫画の主人公なら、これからアーダの修行パートだな」


 黒鵜の右手に、聖剣が具現化される。


「よく聞け、北条尊人! ステータス∞のその先へと、オレは行く! 〈絶対神ラスボス〉を討つためには、∞の限界を越えねばならないからだ!」


 おれは黒鵜へと片手をつきだして、


「まてまて。決着はもうついているぞ。すでにお前のことは、1兆回ほど殴っている。誤差は5発以内」


「バカが! 同じステータス∞でありながら、そんな力の差があってたまるか! たわごとは死んでから言え!」


 イチゴがなぜか勝ち誇った顔で、


「ご存じないんですか、黒鵜という方。うちのタケト様は、すでにステータス∞のその先へ行っているのですよ。わたしが鍛えてあげたのです」


「ふざけたことを、うがっ」


 1兆回パンチの一発目のダメージが、ようやく黒鵜に自覚されたのだ。

 黒鵜は不可解そうな顔をして、


「なん、だ、今のはぁぁぁぁあああああああがががががががががあぁぁぁあああああああああああああああああああああ…………!!!」


 そこから残りの1兆回分のパンチ(誤差5発)が、コンマ秒で襲いかかるのだった。



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― 新着の感想 ―
[良い点] あたたたた [一言] 浸透勁とか、ディレイノッカーとか浪漫ありますよね〜 よくよく考えたら 北斗神拳は全ての浪漫がつまっていました。 そりゃ流行るわw タケト神拳くるー?
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