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22,忘れたころにキウイ。

 


 ──主人公の視点──


 髑髏(どくろ)島に到着。


 ちなみに髑髏島というくらいなので、上空から見ると髑髏の形をしている島だった。


「この髑髏島のどこかに≪幽冥ダンジョン≫への入り口があるのかぁ」


 このとき上空15キロ地点を浮遊していたわけだが──。

 アーダは自力で飛べるとして、イチゴは無理なので抱えてやっている。


 朝陽がのぼり、2万体近くの髑髏兵士が大移動しているのが目に入った。


「なに行進しているんだろうな、ヒマなのかな」


「タケト様、髑髏軍隊が掲げる旗を見てください。『北条尊人は短小』とか書いてありますよ。異世界に来てまで髑髏(どくろ)にディスられるとか、さすがタケト様です」


 たしかに軍隊が掲げている旗には、他にも『北条尊人は早漏』とか『北条尊人は勃起不全』とか中学生レベルの悪口が書かれている。


「いいんですか、タケト様。バカにされたままで?」


「あのなぁ。おれは様々な経験を積んだ大人だぞ。あんなガキの悪口に、いちいち怒ったり反応したりするはずがないだろ? あの手の悪口に頭くるのはな、精神年齢が中学生ということだ。付き合っていられるか。おれはもう父親になる男だぞ」


「あ、タケト様。『北条尊人は痴漢ヤロー』とも書かれていますよ」


「……」


 いや、まて。

 おれはそれをもう乗り越えたはずだ。痴漢冤罪の件は、すでに心の整理がついている。

 もう過去のトラウマは乗り越え、前へと進んだのだ。ここで怒っていては、後退することになる。


 後退するわけにはいかない、後退するわけには──


「タケト様、髑髏軍が『北条尊人は痴漢するような変態~』と、声をそろえて歌い始めました」


「なんてピンポイントな嫌がらせだ! もう許せん!」


 アーダが言う。


「まってくれ師匠。なぜ異世界の髑髏たちが、師匠の痴漢冤罪の件を知っているのだろうか。何か裏がありそうだ」


「おお、そうだった。とりあえずビールの感覚で『とりあえず皆殺し』していたのは、むかしのおれだ。いまのおれは、成長したのだ。こんな下手くそな歌で煽られたからといって、いちいち反応したりはしないぞ」


「と言いつつ急降下するタケト様であった」


 髑髏軍の中央に着地。

 右足を大地に叩き付けて衝撃波を起こし、周囲にいた髑髏兵どもを吹っ飛ばす。


「久しぶりに言うが、あれは冤罪だ! お前ら皆殺しコースに入ったからな!」


「タケト様、怒りを抑えてください、深呼吸ですよー。深呼吸」


 深呼吸していたら、密集した髑髏兵が分かれて、道ができる。その道を歩いてきたのが、髑髏皇帝と人間の男。


 まず髑髏皇帝と分かったのは、皇帝冠を頭にのせている上、やたらと偉そうだったから。レベルは156なので、地球にいた髑髏皇帝と似たり寄ったりの力か。


 気になるのは、髑髏皇帝と一緒にいる男のほう。長身痩躯で、年齢は20代か。

 ステータス表示を見てみると、ふむ、レベルも含めたすべてが∞だ。


 偽装表示にも見えんし、まさか本物のステータス∞ということか──


 イチゴが、おれの脇腹を連続で小突いて来た。


「タケトタケトタケトタケトタケトタケトタケト様!」


「なんだよ」


「あの男は、タケト様の同類ですよ! なんで異世界にいるのか意味不明ですが! うげげって感じですよね!」


神に愛された案内係(スペシャル・サンクス)】は3体。まずイチゴ。

 ドロシーのステータスを∞にしたレモン。


 あと1体、キウイというのがいるわけだが──


「つまり、キウイによってステータス∞となった元人間か」


「そうです、そうです」


「そうか、ステータス∞か………………あいつも痴漢冤罪の仲間なのかな?」


「タケト様。いい加減、痴漢冤罪は忘れなさい」


 イチゴのくせに正論。



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― 新着の感想 ―
[良い点] おとなですから [一言] 絶許。      w さぁ、邂逅。口上が楽しみです〜
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