表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

108/188

1,おれとダイヤの物語:完結編(全米が泣いた)。

 


 地球に帰還。

 とりあえず、〈おもてなし騎士団〉本部に戻った。


〔いやぁタケト様、【超人類】も口ほどにもない連中でしたね~〕


 と、イチゴ。

 ハンマーがわりに振り回された恨みは忘れたらしい


〔まぁな。この調子だと〈無神ジエンド〉というのもたいしたことなさそうだな〕


〔むむむむむ、〈無神ジエンド〉のことを考えると頭痛が痛いですぅぅ〕


 そういやイチゴは、〈無神ジエンド〉関連の記憶を封じられているんだったっけ。


 しかし考えてみると、〈無神ジエンド〉とは、おれにステータス∞を付与したイチゴのボスなわけだよな。

 とすると、強さも【超人類】などの比ではないような気もするが。


 ソフィアがおれの肩を叩いて、


「北条さん。あなたは地球を救ったので、地球名誉勲章を授与するわね。アース勲章とか名付けて、第一号が北条さんね」


「いらん」


 魔神の称号だけで面倒なのに、そんな大層な(くだらないともいう)勲章などもらってたまるか。


「授与するから。そういうものなのよ、北条さん。あたしにダンジョン調査機関のトップとして、仕事をさせなさい。授与式に出ないと、あたしは泣くわよ」


 新手の脅しだな。


「分かった分かった。娘のオムツを取ってきたらな」


 アーダを手招きして、


「おれは異世界のダンジョンに行って、テキパキとオムツを取ってくるから」


 アーダは捨てられた子犬の顔。


「師匠! 新たなダンジョン攻略に、私は連れて行ってくれないのか!」


「お前、〈デウスマキナ〉での戦いでガス欠状態じゃないか」


 つまりMP切れだ。


「私も行きたい~! 師~匠!」


 だだをこねるアーダ。

 ここでアーダを説得するより、連れて行ったほうが早いか。


「仕方ないな。5分後に出発だぞ」


 アーダは挙手して、


「師匠、おしっこに行ってくる!」


「いちいち報告するな」


 アーダを見送ってから、ふと思う。


 そもそも手元にオムツはないのかな?

 これまで大量のダンジョンを攻略(または破壊)してきた中で、けっこうなアイテムを入手してきた。それらのアイテムはぜんぶ異空間に保管してある。


 その中に、SSRアイテム〈天国のオムツ〉があってもおかしくない。


 脳内でアイテムリストをスクロールして、〈天国のオムツ〉を探す。


 オムツはなかったが、〈滅びのダイヤ(ペリッシュ・アウト)〉ならあった。


 ……………………


 あれ。

 おれ、ダイヤを持ってた。


 んなバカな。


 アイテム登録の日付を確認すると、≪万里の長城ダンジョン≫以外のダンジョンを吹っ飛ばした日だ。

 確かに全てのダンジョンでアイテムを略奪していたが──その中に、おれのダイヤが混ざっていたのかぁ。


 にしても〈冬宮殿〉の手を離れたあと、ダイヤがダンジョンに戻っていたとはなぁ。


 ……えーと。

 これは困った。こんなに大騒ぎしておいて、実はとっくにダイヤ持っていました、とか言えるわけがない。

 沽券にかかわる。というか恥ずかしい。


 ……かくなるうえは。

 誰かに濡れ衣をきせるしかない。


 近くにいた〈おもてなし騎士団〉幹部(すなわち元〈聖ダークサイドムーン騎士団〉幹部)を、手招きする。


「つかぬことを聞くがな。お前の知る限り、最悪最低な犯罪組織はどこだ?」


「はぁ。でしたら、〈666フッド〉でしょうね。【変転】以後も人身売買、麻薬密売などなど悪事の限りをつくしています。とくに臓器を闇ルートで売るため、健康な市民を拉致しては、生きたまま解剖しているそうですよ」


「で、本拠地は?」


「テキサス州です」


 詳しい住所を聞いたところで、瞬間移動。


〈666フッド〉本部は、〈おもてなし騎士団〉に負けぬ要塞だった。


 いきなり現れたおれに、護衛たちが動揺した様子で銃を向けてくる。


「貴様は何者だ?!」


「おれのダイヤを取り返しにきたぞ!!」


「……はぁ?」


「おれのダイヤを返せぇぇぇぇぇ!!!」


 護衛どもの生首をむしり取る。

 そして本部内に突入。〈666フッド〉構成員たちが、大慌てで抗戦してくる。


「貴様ぁあ何者だぁぁあ!!」


 という声があったので答えてやろう。


「北条尊人だ」


 おれの名はこんなところにも浸透していたらしい。

 名乗っただけで、〈666フッド〉構成員たちが反応したので。


「ぎゃぁぁぁ北条だぁぁぁ!」

「ニッポンの第六天魔王が来たぞぉぉ!」

「怯むなぁ殺せぇぇぇ!」

「殺せぇぇぇぇぇぇ!」


「殺すのはおれだ! このダイヤ泥棒どもが!」


 両手を刃化して、神速で駆け抜けながら構成員たちを切り裂いていく。


「ぎゃぁぁあああ腹を裂かれたぁぁぁぁ」

「首ぃぃぃぃおれの首ぃぃぃい」

「あぎゃぁぁぁぁあ俺のハラワタがあぁぁぁぁ」

「うげぇぇぇぇぇぇえ」

「おぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ」


 あらかた殺したところで、〈666フッド〉ボスの部屋に突撃。

 ボスは大男で、いちおうはステータスを持っていた。

 レベル88なので、まぁ人間にしては強いほうなんだろうが──レベル3桁が普通な【超人類】とやりあっていたから、感覚がマヒしている。


「ほ、ほほほ、北条ぉぉぉぉぉ! まって、まってくださいぃぃぃ! あなたさまのダイヤを、我々は持ってないんですぅぅぅぅぅぅぅ!」


 だろうね。おれが持っているし。


「お前、いまおれのダイヤを飲みこんだな」


「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!???」


 ボスの腹を裂いて、胃袋を引きちぎった。

 こっそりとアイテムリストから〈滅びのダイヤ(ペリッシュ・アウト)〉を出して、ボスの胃袋の中にねじ込む。


 そして、あたかも胃袋から取り出したかのように、ダイヤを掲げた。


「ついに見つけたぞ! おれのダイヤは、〈666フッド〉が持っていたのだ!」


 胃袋を引きずり出されたのに、ボスはまだ生きていた。

 そして叫んだ。


「濡れ衣だぁぁあ」


「口封じ」


 ボスの頭部を潰しておく。

 そのあと生き残っていた〈666フッド〉構成員も皆殺し。


 これで真実を知る者はいなくなった。


〈おもてなし騎士団〉本部に戻ったおれは、アーダたちにダイヤを見せた。


「ようやくダイヤを見つけたぞ。〈666フッド〉が盗んでいたんだ。悪い奴らだぜ」


 おれの脳内で、すべてを目撃していたイチゴが言う。


〔……タケト様、冤罪事件を起こしやがったです〕


〔善良な人間が濡れ衣を着せられるのを冤罪というんだよ。〈666フッド〉は犯罪組織だったので、自業自得という〕


〔なるほど! 納得です!〕

 

 

気に入って頂けましたら、ブクマと、この下にある[★★★★★]で応援して頂けると嬉しいです。励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] うむ 自業自得だなw
[良い点] あれ。 [一言] ぷw 意外?なところにありました! 言われてみればナルホド的。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ