表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

103/188

96,蹴っちゃった。

 


 ──〈デウスマキナ〉乗組員の視点──


「閣下! 緊急脱出を具申します! アンダルが倒されてしまった今、我々に勝ち目はありません!」


 ロマナナがそう訴えると、将軍ルシガは一喝。


「バカ者がっ! アンダルが倒されることなど、想定の範囲内だ!」


「え、そうでしたか? 先ほどはアンダルがやられて、私と同じようにショックを受けていたような──」


「バカ者っ! アンダルなど捨て駒に過ぎん! 真打を出すのはこれからよ! その名は、ザーボン! あのアンダル以上に危険とされ、〈デウスマキナ〉様によって厳重に封じられてきた男だ! さぁ、いまこそ【286の獣を飼う男】の異名を持つザーボンが解き放たれるのだぁぁぁあ!」


 ロマナナは監視装置からの報告を読み上げた。


「あ、閣下。ザーボンが倒されたそうです」


「えぇぇぇ!? いつぅぅう!?」


「78秒前に交戦に入り、8秒前に倒されたようで」


「えぇぇぇぇ!!」


 ★★★

 78秒前。


 ──主人公の視点──


 アンダルが自滅。


 ということで、【異空間領域】から出ようとしたところ──


 また新たな【超人類】がやって来た。

 こんどの【超人類】は、全身に禍々しい刺青を入れている。


「アンダルを倒したくらいで調子にのるなよ、北条尊人よ! 我が名は、ザーボン! 286体の召喚獣を操る男だ! しかも召喚詠唱などは不要。なぜならば、我が体に宿しているのだからな!」


 そう言うなり、全身の刺青が具現化してきた。

 なるほど。全身に彫られた刺青こそが、体に封じた召喚獣なのか。


 286体の召喚獣が一斉に【異空間領域】に現れた。

 なんという凄まじさ。


 召喚獣一体一体が、かの【五魔王族】に匹敵しうるステータスを保持しているのだ。こんな化け物どもが地球に降り立っていたら、モンスターたちなどあっという間に全滅させられていたな。


「ならば、うちの召喚獣も見せてやろう。行くぞ、イチゴ!」


〔はいタケト様!!! ……え? あのちょっと確認しますけど、もしや召喚獣って──〕


「イチゴ、君に決めた!」


 脳内からイチゴを引っ張り出して、具現化する。


「タケト様、わたしはポケ〇ンじゃないですよ! 勝手に『君に決めた』とか言わないでください! こらタケットぉぉぉ!」


 まずイチゴの全身に《超超硬質化(ハイパー・ハード)》をかける。

 イチゴを頑丈の中の頑丈にしたところで、右足首を持って。


「行くぞ、イチゴ!」


「考え直しやがれですよ、タケットぉぉぉ!」


 イチゴを振り回しながら、286体の召喚獣の群れに突撃。

 そしてイチゴをガンガンぶち当てまくって、召喚獣どもを屠っていく。


「うぉぉぉぉぉぉ!!」


「きゃぁあぁぁぁぁぁ!!」


「うぉぉぉぉぉぉぉ!!」


「うがががががががが!!」


「うぉぉぉぉぉぉぉ!」


「あばばばばばはばばばば!!」


 286体の召喚獣は、イチゴに吹き飛ばされ、全滅。

 唯一残ったザーボンが怒鳴る。


「我が召喚獣たちが! よくもぉぉぉぉぉぉ!!」


「とどめのイチゴ!!」


 イチゴをハンマーのように振り上げて、ザーボンに振り下ろした。

 ぐちゃりと潰れるザーボン。


「おれたちの勝利だ。イチゴ、ハイタッチするか?」


「……タケト様……わたし……温泉にでも入って心と身体の傷を癒したいです……」


 とりあえず、【異空間領域】を出るか。

 次元を切り裂いて、〈デウスマキナ〉内へと戻る。


★★★

 ──〈デウスマキナ〉乗組員の視点──


 将軍ルシガが決意の声で宣言する。


「こうなれば仕方あるまい。わしが出る!!」


 ロマナナはハッとした。


「そんな、閣下みずからが? お止めください! 閣下を失っては、誰が指揮を執るというのですか!」


「ふっ、止めるな。ロマナナよ。わしもかつては、最前線に出ては敵と戦っていたものだ。いま思えば、生きていると実感できたのはあのころよ。そう、わしの中にも戦闘種族【超人類】の血が流れているのだ」


「……閣下」


「案ずることはないぞ、ロマナナ。わしは必ずや、北条尊人を打ち倒してくる。その時には、上司と部下の垣根をこえ、友として祝杯を上げようではないか!」


「はい喜んで、閣下ぁぁ!」


 瞬間。


 司令部の壁を突き破って、北条尊人が飛び込んでくる。

 飛び蹴りのポーズで。


 すなわち、ライダーキックのポーズで。


 キックが、ルシガの顔面に命中。

 衝撃で、頭部が爆散。


 びっくりする北条尊人。


「あ、ごめん。蹴っちゃった」


 ロマナナは絶叫した。


「そんなぁぁぁぁ閣下ぁぁぁぁぁ! 北条ぉぉぉ蹴っちゃったって、なんだそれぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」



気に入って頂けましたら、ブクマと、この下にある[★★★★★]で応援して頂けると嬉しいです。励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] いちごはんまー [一言] 北条キックっ!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ