プロローグ
※この話は仮想と現実が入り混ざっている物語です。
「もう卒業か… 楽しかったけど少し悔いを残しちゃったな。大学は決まったけど、ほかに何も決まってないし、夢も将来のことも後回しにして考えちゃってるなー。」
と、卒業式前日に家で悩んでいる藤城慶斗はスマートフォンを取り出して、幼馴染みで自転車部として3年間ともに練習した入座将鈴に電話してみた。
「ごめんな。こんな時にかけて。今電話できる状況?」
「ううん。全然大丈夫だよー。俺も1人でいるのちょっと嫌だったし。」
相変わらずの明るい声で将鈴がかえす。
「なんか、少し晴れない部分があってさ… 大学もそこまで考えてないし、高校でもインカレ後少しで全国出れなかったし、なんかこのまま目的のない人生になりそうで怖いな。」
「そうだよね。俺も慶斗と大学は一緒だけど、心細い部分はあるな〜。そういえばさー、明日の卒業式の後の夢とか目標について1人1人言う機会あるじゃん。それ何言うか決めた?」
「いや、まだ決めてないなー。というか少し忘れてた(笑)。逆にさー、将鈴は言うの決まったの?」
「うん。一応ね。俺さ、大学でも自転車続けて行きたくてさ… でも、うちらが入る南茨大学は自転車サークルもないから高校の仲間とか中心に活動して行きたいなー。それで、外国行きたい!(笑) だから慶斗もやろっ!」
「おぅ。いいかもな。でも実力がだよね…」
「そこは練習でしょ(笑) 周りにも言っとくね。じゃあ明日言うことは決まりだ!」
「うん。わかった。じゃあまた明日な。」
「じゃあな」
藤城は嬉しい反面少し不安だった。でも大学での目標が出来たし、なんといっても高校の仲間と一緒にいれるということが安心になった。
一方、入座は南茨大学に入る仲間をメインに電話した。
1人目は、滑河頼。彼も南茨大に入る予定で、逃げに乗ることが上手い。身長も高く攻撃的なレース展開をする。
2人目は、早野秀開。彼も南茨大に入る予定で、小柄な体格だが力強いクライマーだ。高校2年のときにU17のヒルクライム大会で2位に入ったことがある。
3人目は、早野秀介。秀開の弟で2歳下の高校1年生。出れるレースは制限されてしまうが、高校総体トラックのチームパシュートの県代表メンバーであり、非常に高い能力を持っている。
4人目は、新谷蓮弥。彼は大学には入らず社会人として近くのベンチャー企業に就職することになっている。突出した能力はないが、アシスト選手としては頼りがいがある。
そこに長身の藤城慶斗とスプリント力のある入座将鈴を加えた6人で活動していくことになった。
こうして迎えた卒業式当日。将来への決意と高校での思いを込めて舞台にたった。皆の眼には涙が流れていたが表情は凄く笑顔だった。藤城は、その後の夢を語るイベントが心配だったが楽しみで仕方なかった。
そして、卒業式が終わって迎えたその時、藤城はクラスメイトの入座と前に出て、マイクの前に立って息を合わせた。
「俺らは大学でも自転車続けて勝ちます!そして海外行きます!(笑)」
みんな笑っていた。クラスメイトも拍手してくれて応援してくれた。こうして6人の長い旅が始まっていく。




