8*約束〜雅
次の日、俺は昨日の事実がある以上、理沙には合わせる顔がない。
千佳は、いつもの調子で教室来るし…まじうぜぇ。
適当に千佳を追い出して、俺はずっと考えてた。
『これから理沙とどうしよう…』
と、会いに行きたかったけど、なかなかその勇気も出ずに…。
昼休み、やっぱり、理沙と話したい。
だから、理沙の教室へ行った。
「ねぇ?今暇でしょ?どっか遊びに行こうよ〜」
俺は、理沙がビビッてるのに気づきながらもそんなのお構いなしに、理沙の手を引っ張って屋上へ行った。
「昨日の話、乗ってくれる?」
いきなりすぎたかな…。
理沙が明らかにあせってる。
「え…?千佳を苛めるってこと?」
「そういう訳じゃないけど、これからは2人でツルもうってこと。」
理沙はこんな俺見てどう思うんだろう。ただのウザい奴って思われても仕方ないと思った。
そして、しばらく考えてから…理沙が出した答え。
「う、、うん。乗ってもいいよ?」
マジですか!!!!??
めっちゃ嬉しいんですけど〜。
「え?マジ?じゃあ、今日の放課後から作戦実行!
やっぱお前とはうまくやっていけそうだよ。」
そこまで言うと、俺は次になんて言えばいいのか分からなくなって、ありもしないのに『小テストがある』と言って教室へ帰った。
めちゃくちゃ嬉しかった。
理沙が、これから俺と一緒にいてくれる。
そして、キャスト発表。俺はいつも通りの男役。理沙も男役。
その時の俺にとって、理沙は『俺を一人ぼっちにしないための道具』でしかなかった。
俺が一人になって先輩から『あの子寂しい子』って思われないようにするための『道具』。
別に理沙が嫌いだったわけじゃない。
『千佳が最悪だから理沙にした』ってのが正直な話。
でも…そんな俺に転機が訪れたのは…夏休み…だった。