7*約束〜理沙
次の日、私は昨日のことが気になって教室でボーッとしていた。
クラスメートの春名や美香はそんな私を心配してくれたけど、どうしても話す気になれなくて…
千佳も教室に遊びに来たけど、何か昨日のことが申し訳なくて…冷たくしか接することができなくて。
千佳はそんな私をつまらないって思ったのか、サッサとどこかへ行ってしまった。
私は寂しかったけど、追いかける気にもなれずに…。
お昼休みも中ごろを過ぎた頃、雅が遊びに来た。
私は昨日のことを思い出して、雅と目をあわせられずにいたけど、雅はそんなのお構いなしに話かけてきた。
「ねぇ?今暇でしょ?どっか遊びに行こうよ〜」
私が答えるよりも先に雅は私の手を引っ張って屋上へ。
私はこれからどうなるのか全く見当が着かなくておどおどしていた。
「昨日の話、乗ってくれる?」
「え…?千佳を苛めるってこと?」
「そういう訳じゃないけど、これからは2人でツルもうってこと。」
あ、、そうゆうことだったのか。
でも…今ここで断ったら雅に嫌われちゃうし、でも、千佳にはなんだか申し訳ないし。
でも、雅に嫌われたら千佳からも嫌われるかもしれない。
つまり、私が友達を失わないためには、『雅の話に乗る』。それしかなかった。
「う、、うん。乗ってもいいよ?」
「え?マジ?じゃあ、今日の放課後から作戦実行!
やっぱお前とはうまくやっていけそうだよ。」
そこまで話したら、雅は『次の時間に小テストがあるから』と言い残し、教室に帰ってしまった。
何か一方的に話を押し付けられてるって感じ。
正直あんまいい気持ちじゃなかったけど、これでとりあえず一人ぼっちになる心配はないんだって思うとなんだか嬉しくなってきた。
千佳には申し訳ないけど。
その日から、私はずっと雅と一緒だった。
クラスこそ違うものの、朝の時間や休み時間は必ずお互いの教室を行き来し合って一緒にいたし、放課後だってずっと一緒だった。
兄弟よりも仲がいいくらいだった。
雅は私の生活の一部になっていた。
ちょっと脳みその足りない私に取って雅は魅力的だった。
放課後もずっとおしゃべりして…部活のことだって色々教えてもらった。
そして、いよいよ、私の初舞台のキャストを決める時期がやってきた。
もちろん、初舞台だから主役とかは期待できないけど…
キャスト発表。
私がもらった役は劇の中ではギャグ的な面白い存在で…
そして、いつも一緒にギャグをかましてる相方がいた。
私がボケで相手がツッコミ。その相手役が百合だった。
そして、部活中は百合と自然にツルむようになった。
もちろん、それ以外のときは雅と一緒だったけど。
今思うと、これが全ての始まりだったのかもしれないね。
あの時、あの屋上での出来事がなかったら、
きっと2人の運命は違った。
それが良い方向にだったのか悪い方向になのかは分からない。
でも、あの出来事がなかったら―
私がこんな気持ちになる日は来なかった。
そのことだけは、はっきりと分かります。