6*出会い〜雅
千佳は昨日、理沙とカラオケに行ったらしい。
どうせアイツのことだからkinkiばっか歌ったんだろうけど。
アイツ、リアルにうぜぇ。
そういえば、昨晩、千佳から報告メールが来た。
『やっぱさ、理沙、寂しかったみたい。明日から仲良くしてあげよ〜よ♪』
何か、いい感じじゃないですか?
明日から理沙も一緒だって〜。何か。テンション高いんですけど。
とウキウキして学校に来た。
俺にしては珍しい。
その日から俺は千佳と理沙と
そして、もともと千佳と仲が良かった雅と3人でお弁当を食べたり、カラオケに行ったり。
最初は単純すぎて、馬鹿すぎる理沙についていけないって思ったけど、
だんだん慣れてくるとむしろ単純で馬鹿なところが理沙の魅力だと思うようになっていた。
千佳は相変わらずウザくてウザくて…
千佳と3人と言うよりは理沙と2人でいたかった。
千佳がそれくらい嫌いだった。
俺は決めた。
やっぱり千佳は嫌いだ。
そして…理沙と2人でいたい。
その方がずっと楽しいと思ったから。
そして、アドレスだけ聞いて連絡したことのない理沙のケータイにメールを送る。
『明日さ、話したいことあるんだけど時間ある?』
いきなりこんなこと言われたらびっくりするよな、、
と思いつつも送信ボタンを押してしまったらもう遅い。
だけど、いきなり呼び出して「千佳がウザい」なんて言ったら理沙はびっくりするよな、、
嫌われないといいけど…。
次の日、
呼び出した側が遅刻なんてかっこ悪すぎるからと思って早く待ち合わせ場所へと向かった。
だけど、気合入れすぎて30分も早く着いちゃうし…
「ごめんね〜。待ったでしょ?」
あ、理沙だ。
来てくれたんだ。
本当に来てくれたんだ。
『来てくれた』っていう事実が嬉しかった。
「どっか行こうか?あ、マックでいい?おごるから。」
ちょっと太っ腹なことを言ってみる。
理沙の機嫌取りじゃないけど、呼び出したんだし、これくらいはしてあげてもいいかな、、と思った。
とりあえず、いつものチーズバーガーのセットを頼んで席に着く。
俺がどうやって話を切り出していいか分からずにおどおどしていると…
理沙の方から話を始めてくれた。
「話って何?」
いきなり…本題に入るわけにはいかないよな?
じゃあとりあえず…
「理沙はさ、前はダンス部だったんだよね?どうして演劇部なんかに入ろうと思ったの?」
我ながら自然な流れを作れたと思う。
「んーと、、千佳に誘われて見に行った舞台で感動しちゃって…」
「あ、そうだったんだ。で?どう?部活楽しい?」
おっ、なんかいい感じ♪
「うん!楽しいよ。」
そろそろ…いいですかね?
早めに切り出さないと…話損ねちゃう気がするし。
「そっか…。理沙はさ、千佳のことどう思ってるの?」
言っちゃった〜。
ちょっと単刀直入すぎたな。
理沙がビビッてるのが目に見えて分かった。
「すごく…優しくていい子だよね?」
…やっぱ無難なことしか答えないよな。
「そっか…。」
自然とため息がこぼれた。
「雅ってさ〜、男っぽいよね?」
うわっっ、話を反らされる!!
このままじゃまるで話せじまいじゃないか!!
と思い、少し強引に話を戻す。
「うん。まぁね。千佳ってさー、何か威張ってるような気がして。最近ウザいんだけど。」
絶対理沙に引かれるわ…思った。
「まぁ…ウチの学年のさ、リーダーだよね★」
理沙は困ったような顔でそう言った。
理沙の困った顔を見た俺は何だか申し訳なくて…
でも、考えるよりも先に言葉が出ていた。
「俺さ、嫌いなんだ。そうゆうの。だから…何ていうか…ごめん。いきなりこんな話して。でも…お前とは何かうまくやっていけそうな気がするよ。」
あ、、あーー、、
もう話が続かないと思った俺は、何だか申し訳ない気持ちと、この後理沙との間に気まずい空気を恐れる気持ちに襲われ…
気づいたときには席を立っていた。
理沙、マジごめんな。