5*出会い〜理沙
次の日からと言えば、私は千佳にベッタリだった。
初めてできた演劇部の友達。私は嬉しくて嬉しくて…。
千佳は元々学年のリーダー的存在だったから、自然と他の子とも話す機会が増えて…。
全てが上手くいきそうだった。
そして、もともと千佳と仲が良かった雅と3人でお弁当を食べたり、カラオケに行ったり。
毎日が楽しくて…。
そんなある日、雅からの初メール。
『明日さ、話したいことあるんだけど時間ある?』
これって呼び出しだよね…?
次の日、
(何か、悪いことしちゃったかな…?)
と少し不安に思いながらも、待ち合わせした場所へ行く。
少し早めに着くように行ったけれど、既に雅は私を待っていた。
「ごめんね〜。待ったでしょ?」
「どっか行こうか?あ、マックでいい?おごるから。」
いつもと同じでクールな雅に連れられて、駅前のマックに行った。
私は、友達におごってもらうなんて初めてだから、なんだか申し訳なくて。
そして…沈黙。
なんとなく気まずい空気が流れて…
仕方ないから私から話をすることにした。
「話って何?」
「理沙はさ、前はダンス部だったんだよね?どうして演劇部なんかに入ろうと思ったの?」
「んーと、、千佳に誘われて見に行った舞台で感動しちゃって…」
本当は…ちょっと違うんだけどね。
「あ、そうだったんだ。で?どう?部活楽しい?」
「うん!楽しいよ。」
「そっか…。理沙はさ、千佳のことどう思ってるの?」
雅はいつになく真剣な表情で聞いてきた。
その時の私は千佳にはすごく感謝してたし、仲良かったし。
「すごく…優しくていい子だよね?」
うん。これが正直な話。
「そっか…。」
そう言いながら、雅はため息をついた。
私にはため息の理由が分からなかったけど。
ここは話題を変えなきゃ!
「雅ってさ〜、男っぽいよね?」
これは、うまい具合に話が反れそうだ!そう思ったけど。
雅は私が話を反らそうとしてることを見抜いてたみたいで。
「うん。まぁね。千佳ってさー、何か威張ってるような気がして。最近ウザいんだけど。」
えっ、、こうゆう展開ですか?
いきなり悪口とか言っちゃうわけ?
「まぁ…ウチの学年のさ、リーダーだよね★」
と、話を丸く収めようとしたら…雅はそれを遮るように…
「俺さ、嫌いなんだ。そうゆうの。だから…何ていうか…ごめん。いきなりこんな話して。でも…お前とは何かうまくやっていけそうな気がするよ。」
そう言い残して雅はマックを後にした。
雅が去った後には…
呆気に取られた私が1人ぽつんと座っていた。