4*雅
本当はお前と同じ大学に行きたかった。
でも、俺は医者になるって決めてたから、別々の大学に行った。
お前は可愛いから、もしかしたらもう彼氏とか作ったりして幸せにやってるんだろうか?
そうしたら俺は…もう必要ないんだろうか?
あんなに頼ってくれたのに。
あんなに必要としてくれたのに。
あなたはもう俺に頼ってはくれないんですか?
あなたはもう俺を必要としてはくれないのですか?
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理沙が演劇部に入ってきて一週間が経った。
千佳から離れたい俺にとっては最高の『逃げ場』になるような気がした。
なんとなく学年内でも浮いてたし。友達いなそうだし。
理沙からはどことなく寂しげな雰囲気を感じた。
俺はずっと話しかけたかったけど、いまいちタイミングを掴むことができずにいた。
かっこ悪いな…、俺。
そういえば、千佳は去年理沙と同じクラスだったんだっけ?
ちょっと探りを入れてみることにした。
「清水さんってさ〜、どんなこなん?」
あえての『さん』付け。いきなり理沙とか言ったら何か不自然な気がして。
「本当は明るい子だよ。ただ、ちょっとバカってか天然?不思議ちゃんって感じ。」
「へー。そうなんだ。何か話しかけてあげたいんだけどどうやっていいか分かんなくない?」
「ま、そうだよね。じゃあさ〜、ウチ、去年同じクラスだったし、一緒にカラオケでも行ってこようかな〜♪」
と言い残し、千佳は早速理沙のところへカラオケに誘いに行った。
『不思議ちゃん』か。
あんま得意じゃないかもな…。
と思い少しため息をついた俺。
でも、千佳は何かウザいし、やっぱ『逃げ場』には最適かもしれない。
『不思議ちゃん』なら何も気づかずに仲良くしてくれそうだし。
汚いな。俺。