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最後の勇者
真実にどれだけの価値があるのだろう?
正義を夢見た少年は、いつか現実を識るだろう。
その時、あの日の少年は何を想う?
夢見た光景はどこにもない。
その事実を識った時、かつての少年は何を想う?
ただ流れいく時に身をまかせ。
それでも、青年へと成長した彼はまだ信じていた。
この世界に、正義はたしかに存在するのだと。
やがて、彼は神へと牙を剥くだろう。
いつか、彼は神を殺すだろう。
神と魔を殺しても、それでも世界は終わらない。
それでも世界は止まらない。
時間は、まるでこぼれ落ちる砂のように流れ続ける。
そして、その瞳を永遠に閉ざすその瞬間に悟るのだ。
セカイは終わらないと悟るのだ。