数分の睨み合いと真上の魔物
ヴィシュヘル第十二回層の扉を開けると同時に、エイゼがかけてくれていた暗視魔法のナイトビジョンの効果が切れた。
そのため、エイゼが再びナイトビジョンをかけるまでの間、通常の視界に戻った。
その通常の視界の状態で第十二回層を覗くと、その暗闇からなにかの緑色の眼光がこちらを見ているのがわかった。
その眼光に気づいたのは俺だけでなく、ナイトビジョンの準備をしていたエイゼ以外のリヤ、ケルフィン、リーザの三人もだ。
その眼光の鋭さに、それを見た4人が一歩後ろに下がる。
エイゼからしてみれば、いきなり自分以外が後ろに下がったので、何かあったのかと不安になり声をかけてきた。
「みんな、何かあったの?急に後ろに下がるから」
俺はその眼光から目を離さず、エイゼに説明する。
「エイゼ、この先の暗闇を見てみろ。すぐそこに何かいるぞ」
「暗闇って、第十二階層の中のこと?いままで入り口に魔物が湧いてくることなんてなかったし何かの見間違いじゃ.....う、うわぁ!な、何あれ!?」
エイゼは俺の言ったことを半信半疑で聴きながら、指示した暗闇の方に目を向ける。
エイゼの半信半疑は、暗闇の中に浮かんでいる鋭い眼光を見た途端に真実に切り替わった。
それを見た途端に、あまりにも強すぎる鋭さにエイゼも一歩引いてしまう。
互いに視線を一切外さず睨み続けること数分、いきなり扉が閉じてその眼光さえも遮られてしまった。
いきなり扉が閉じるなんておかしい事だが、女性陣4人はあの眼光から一時的とは逃れられたことに安堵していた。
「なんなんだろう、今の?」
「分からない。でも、初遭遇の魔物で間違い無いと思う」
「だよね。というか、今の目の高さ的にまあまあ大きかったよね」
リヤが言った一言だが、それはかなり重要なこととなる。
さっきの魔物の目の位置的に、少なくとも俺よりも身長が高いのがわかる。
俺自身身長が格別低いということはないため、あの魔物の高さは2メートル程度と思われる。
そう考えるとさらに腰が引けてしまうが、時間も限られているためのんびりはできない。
俺たちはすぐにエイゼにナイトビジョンをかけてもらい、暗闇での視界を確保してからもう一度扉を開ける。
ナイトビジョン独特の視界の先には、見慣れた一般階層の入り口が広がっていた。
扉が閉じてから再び開けるまでの時間は数分しかなかった。
だから、その数分で逃げたとしたら考えられるのは二つ。
一つはこの階層の奥に逃げてしまった。
もう一つは、俺たちの真上、要するに天井にいるというものだ。
俺はその危険を危惧し上を見上げる。
そこには、案の定魔物が引っ付いていた。
どうもMontyです。
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