懐中時計の在りかと時刻確認
俺たちがダンジョンにもぐってから一番困っていたもの。
それは『時間の確認』だ。
俺たちは途中でショートカットなどをしながらここまでやってきたが、実際どれくらいの時間がかかったのかは分かっていない。
時間さえ掛ければ最下層まで到達はできるが、この課題試験には12時間というタイムリミットが設けられている。
現在時刻が分からない今、攻略の途中で時間切れ、何てことも起こりかねない。
なのでずっと時間を確認する手段を探していたのだが、それが今目の前にあるのだ。
「エフ、その懐中時計をどこで手に入れたんだ?教えてくれ!」
「いや、これは手に入れたんじゃなくて普通にもらえるんだよ」
「もらえる...ってどこからだよ!」
「本当に知らないのかよ。あそこからだよ」
そう言ってエフが指差した方向には、いつもスタンプを押している机があった。
「エフ、何を言ってるんだ?あそこにはスタンプしかないに決まってるだろ」
スタンプが置いてある机にはスタンプしか置いてない。
それが俺の今の考えだ。
だがそんなことはないようで、エフは机に近づいていった。
そして、机の中に手を入れて何かを引っ張り出す。
その手の中には、今さっき見たエフが持っていた懐中時計と全く同じものがあったのだ。
「え、エフ、それって...」
「そうだよ。スタンプが置いてある机の中に懐中時計が入ってるんだよ」
俺たちはショートカットをしてきたとはいえ、それなりの数のスタンプは押してきた。
それなのに今まで気づかなかったとなると、俺たちが探索、というかスタンプを押していない階層の机の中にあったことになる。
一応どこの階層にあったのかを聞いておくことにする。
「エフ、その懐中時計ってどこの階層の机の中にあったんだ?」
「どこって、第一階層の入り口のところにある机の中にあったぞ。他のグループもとってたぽいし」
これはどうやら、本当に気づかなかったってだけらしいな。
とりあえず気づかなかったってことは何も考えず、エフが持っている懐中時計を受け取りにいく。
「まあいいや。エフ、教えてくれてありがとな」
「いいってことよ。ほらよ、お前らの分」
エフはそう言って俺に懐中時計を渡してくれる。
俺はエフから懐中時計を受け取ったあとに現在時刻を確認する。
懐中時計は丁度午前10時30分を指していた。
今までのペースで進めば問題はなさそうなので、俺たちは再び出発をしようとする。
「じゃあ、エフ。先に行ってくるな」
「ああ、俺たちも準備ができたらすぐに追うからな」
俺はエフと言葉を交わし、第十一階層の扉を開けた。
どうもMontyです。
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