自己決定の承諾と無駄な責任感
ダンジョンのフロアボスという大きな敵を、二つのグループが協力して倒したところまでは良かった。
だが、合同グループというのには問題点もあるわけだ。
その一つが、これから挑む第十一階層の攻略についてだ。
はじめに合同グループを作ると決めたとき、一緒に攻略するのはあくまで十階層のフロアボスのみというだけで、攻略したその先のことについては特に何も決めていなかった。
そのため、第十一階層前の扉で休憩している今のうちに決めて置く必要があったのだ。
勿論このことについては、合同グループとしていっしょにフロアボスのホブゴブリン討伐を行ったエフがリーダーとなるグループとの話し合いが必要となってくる。
その前に、こちらの意見をまとめて置きたいと思ってエイゼのところに来たのだ。
エイゼは俺よりも頭がいいし、今後のことも考えて最適な答えを導き出してくれると思っていた。
だが、エイゼは俺が思っても居なかった提案をしてきた。
「それは、ラクト君が決めて構わないわよ」
「・・・え?」
俺はそれを聞いた途端、その言葉しか口から出てこなかった。
それを聞いたエイゼは、自分の言ったことが俺に届いてなかったと勘違いしたらしく、もう一度言ってくれた。
「だから、今後のエフ君たちとの関係はラクト君が決めちゃっていいって言ったの」
「うん、それは聞こえていた。俺がこんな声を出したのはそこじゃなくて『ラクト君が決めていい』ってとこなんだけど」
「だからそう言ってるじゃん。決めていいって」
俺に何度も同じことを言わされてイラッと来たのか、今の言い方は少し強めだった。
だが、そんなエイゼの機嫌に関することは今はどうでもいい。
俺の頭の中は、今二つのことで埋まっている。
1つは、本当に俺が決めてもいいのかということ。
もう1つは、俺が決めて迷惑にならないかという二つのことだ。
一つ目のことに関して、エイゼがそう言い続けているのであきらめて引き受けることにした。
問題の二つ目のことは、エイゼにちゃんと言ってみた。
「わかった、今後のエフたちとの関係は俺が決めても構わない。ただ...」
「ただ?」
「俺が決めたことで誰にも迷惑がかからないか、あとでこうしておけばよかったなんてことにはしたくないんだ。だから、せめて何か案だけでも出してもらえるとうれしいんだけど」
「まったく、どれだけ心配性なんだか。ラクト君、後ろ見てみて」
「後ろ?後ろがどうかしたのか」
俺がそう言って後ろを振り向くと、リヤ、ケルフィン、リーザの三人がいつの間にかそこに立っていたのだ。
どうもMontyです。
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