疲れ果てるみんなと二つの確認点
ヴィシュヘル第10階層のフロアボスであるホブゴブリンと、そのホブゴブリンによって召喚された合計40匹ほどのゴブリンを全て倒し、見事フロアボス討伐を果たした俺たちは、第11階層の前の扉で休憩しているところだった。
フロアボスのホブゴブリンを討伐した直後、目の前にあった壁にいきなり扉が現れた。
その扉を開けてみると下へ続く階段があり、その階段を降りてここにきたというわけだが。
みんな、さっきの戦闘で疲れ果てて次に進むことも出来なさそうだったので休んでいる。
俺はエイゼと今のフロアボス戦の反省と今後どうするかについて話し合おうと思い、少し離れたところで休んでいるエイゼに近づいた。
「エイゼ、今ちょっといいか?」
エイゼは俺に声を掛けられると、すぐに俺のほうを向いて一言返事をしてくれた。
「大丈夫よ」
エイゼがそう言ってくれたので、俺は壁に寄りかかっているエイゼの隣に座った。
エイゼは俺が座ったのを見てから、自分のところに来た用件を聞いてきた。
「ところで、どうして私のところに来たの?」
「いや、ちょっと今後のことについて色々確認を取りたくて」
「確認ぐらい私じゃなくて他のみんなでもいいと思うのだけど」
確かにエイゼじゃなくても、俺たちのグループにはリヤもケルフィンをリーザも居るわけだが、俺がエイゼに確認しようと思ったのには理由がある。
1つは、俺たちのグループに中でも多彩な知識を持っており、かつ俺以外の全員が女子のグループの中心であるエイゼに確認を取るのが最善だと思ったからだ。
もう1つは、エイゼ自身も分かっていることだった。
「なんでお前かなんて、周りを見てみれば分かるだろ」
「確かにそうね。こんな状況じゃ私以外に聞いてもいい回答は望めそうにないものね」
俺とエイゼは、同時に辺りを見回した。
そこには、休憩と言ってもいつ終わるのかすら見当が付かないほど満身創痍の状態で疲れきっているみんなの姿がそこにあった。
その中には、勿論俺たちのグループのリヤ、ケルフィン、リーザの姿もある。
こんな疲れきっている人たちに今後のことについて話し合おうなんていっても、聞く余裕などあるはずがない。
そのため、必然的にエイゼとなるのだ。
一度周りを見渡したあとに、エイゼは俺に声を掛けてくる。
「それで、話って何?」
「そうだった、今後のことについていくつか確認したいことがあって」
「構わないけど、具体的にはどんなこと」
「1つは、現在時間と残り時間によるダンジョン攻略のペース配分。それと、今後の攻略において、エフたちのグループと一緒に行動するかどうかってとこ」
この二つが、今重要となってきていることなのだ。
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