救いの弓矢と指切り
ホブゴブリンの圧倒的なパワーによってケルフィンの大剣は弾き飛ばされ、すぐさまノータイムで棍棒が真上から振り下ろされようとしていた。
ホブゴブリンは簡単に棍棒を扱っているが、その重さは数百キロはあると思われる。
それに、圧倒的な体格が合わさった攻撃を一度も受けずに受け流してこれたのがおかしかったのだ。
俺自身、ケルフィンなら大丈夫と心のどこがで思ってしまっていた。
そのせいで、今のような絶体絶命の危機に襲われたのだろう。
ホブゴブリンの攻撃を受けきれずに倒れてしまっているケルフィンは、俺とエフからも距離があるため完全に1人だ。
逃げるにも、すでにホブゴブリンは棍棒を振り上げて次の攻撃を仕掛ける準備は整っている。
今攻撃を止めるには遠距離攻撃が最適だが、さっきまでゴブリンに囲まれて、それを突破するために魔法を連射していたためにマナが減っている。
たとえ魔法の詠唱が間に合ったとしても、今からじゃ間に合わない。
フロアボスの部屋にいた全員が諦めかけていたその時、隣を高速で何かが通って行くような気がした。
その直後に、ホブゴブリンから叫び声のそうなものが聞こえてきた。
その声の理由は、ホブゴブリンが棍棒を持っている右手の手首あたりに刺さっている矢だ。
ホブゴブリンは痛みに耐えかね、左手で矢を抜こうとした。
ケルフィンはその隙に抜け出し、吹き飛ばされた大剣を拾いに行く。
矢を抜き終えたホブゴブリンは逃げ出したケルフィンに気づき、痛みで使えない右手を無視し左手ですケルフィンのことを掴もうとした。
ホブゴブリンに掴まれたらどうしようもないが、気づくのが遅かった。
ケルフィンは拾った大剣を構えて、自分を掴もうとしている手に狙いを定めていた。
切られるとわかってからでは手を止めるには遅く、勢いを殺そうとするが出来ずケルフィンの大剣の射程に入った。
ケルフィンはすぐさま大剣を振り、ホブゴブリンの左手の中指に切り込む。
スパッ!
中指は見事に切り落とされ、時間差で血が吹き出してきた。
とてつもない痛みに襲われたホブゴブリンは、走って部屋の奥に行ってしまう。
追撃しても良かったが、俺とエフは負傷した2人を入り口まで連れていかなければなかったので、ケルフィンも一緒に一旦引くことにする。
みんなと合流した俺は、負傷者を回復魔法が使えるエイゼとリーザに預け、ケルフィンとともにリヤの元に行きお礼を言う。
「リヤ、ありがとな。完璧なタイミングだった。みんなマナをかなり使っていたから無理だと思っていたが、ケルフィンが助かるとは…」
「ううん、何よりもケルフィンちゃんが助かったのが何よりだよ。それに、お礼は倒したからね!」
確かにそうだ、今はすぐさま体勢を整え次の攻撃を仕掛ければならない。
そのために、一旦みんなを集めて緊急会議をする事にした。
読んでくださっている方々、こちらの作品ではお久しぶりです。
最近リアルでかなり体に負担をかける事が続き体調を崩してしまい投稿出来ずにいました。
リアルの方もひと段落し体調も良くなったので、こうして投稿を再開する事が出来ています。
今後も私用などで投稿出来なくなるかもしれませんが、できるだけ毎日投稿をしていきたいと思います。
また、新作の方は土日の12時に投稿したいと思います。
そのため、土日は二本投稿となります。
場合によっては1日に同じ作品を二本出すこともあるかもしれませんがご了承下さい。
それでは、今後とも頑張っていくのでよろしくお願いします。




