攻撃の狙いと開いた後ろ
【エクスプロージョン】
エイゼの唱えた爆発魔法は見事にホブゴブリンに直撃し、ホブゴブリンのおなかの辺りで爆発した。
爆発により、辺りに土煙が俟った。
ただ、土煙によって視界を奪われているが土煙の中からホブゴブリンの足音が聞こえる。
さすがに爆発魔法一つでは倒しきれなかったようだ。
俺は土煙が晴れ、ホブゴブリンが反撃してくる前に細かい指示を出す。
「魔法は命中したが、やはり倒しきれてない。ここからは、大剣を使っているケルフィンを中心にホブゴブリンの注意を引きつつ攻撃していく。短剣はエイゼから加速魔法を掛けてもらって後ろからの攻撃を頼む。作戦は土煙が晴れたら開始するぞ」
みんなに指示を出した後、俺は剣を手に取り土煙が晴れるのを待った。
徐々に土煙が晴れ、ホブゴブリンの姿が見え始める。
そして、俺はみんながホブゴブリンを目視できるであろう煙の濃さになったら攻撃の指示を出した。
「みんな、見えるようになったな。じゃあ、作戦開始だ!」
その合図とともに、前衛の短剣使い以外がホブゴブリンとの一気に距離を詰める。
ホブゴブリンは急に距離を詰められ驚いていたが、すぐさま攻撃しようと体勢を整え手に持っていた棍棒を俺たちに向かって振り下ろしてくる。
あたったらひとたまりもない攻撃だが、先陣を切っていたケルフィンが、巧みな大剣使いでその攻撃を受け流す。
思いっきり力を込めた攻撃を受け流されたホブゴブリンは、攻撃の反動でかなり体勢が崩れていた。
ケルフィンはその隙を突き、大剣を振りかざす。
ケルフィンの狙いはホブゴブリンの足の腱だ。
腱を切ってしまえばホブゴブリンに大きなダメージを与えると同時に、移動を制限することができる。
ただ、ホブゴブリンも簡単に攻撃させてくれる訳もなく、左腕で攻撃を防ごうとする。
ケルフィンは腱への攻撃が不可能だと思った直後、すぐに腕に大きなダメージを与えようと大剣を振りぬく。
攻撃は命中しホブゴブリンにダメージを与えることに成功し、俺たちはそのままたたみ掛けようとさらに距離を詰める。
そのとき、後ろから予想外の声が聞こえてきた。
「ラクト君、戻ってきて!回りからゴブリンが湧いてきたの。接近戦はできないから、そっちから数人欲しいの」
俺はエイゼにそう言われ、すぐさま後ろを振り向き状況を確認する。
振り向いた先に見えたのは、最悪な光景だった。
なんと、中陣、後陣が大量のゴブリンに囲まれていたのだ。
俺はホブゴブリンのことをみんなに任せ、急いでエイゼたちの元に向かって走った。
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