ホブゴブリンと対策法
エフの掛け声とともに開けられた扉は、キィーという音を立てながら部屋の全貌を見せてくれる。
部屋の外から見た感じ、他の階層との差がほとんど無く相変わらずの暗さだった。
いつもなら暗視魔法のナイトビジョンを使うところだが、フロアボス戦ということもありマナを少しでも温存しておくために松明を持って部屋に入る。
全員で周囲に気を配りながら前に進んでいく。
松明の灯り程度では部屋の全貌を見ることをできないが、ある程度の部屋の大きさは確認する事は出来た。
部屋自体はフロアボス戦専用というだけあり、一階層分を使っているのにもかかわらず大きさはそこまででなかった。
そのまま真っ直ぐ進んでいき大体部屋の真ん中に着いた時、いきなり辺りが明るくなった。
その明るさの正体は、部屋の壁全体に設置してあった大量の松明だ。
手元に松明があったとはいえ暗かった部屋がいきなり明るくなったことにより、みんなの視界が一瞬奪われる。
明かりの残像が消えてきた時、集団の先頭にいた俺の目の前に巨体の生物がいるのに気がついた。
その生物とは…
「ホ、ホブゴブリンだー!みんな、フロアボスはホブゴブリンだぞ!」
目の前にいたのは、ゴブリン種の中でも随一の巨体を持っているホブゴブリンだった。
俺が気付いたと同時にエフも気付いたらしく、後ろにいたみんなにこの事を知らせた。
その声を聞いたみんなは、一斉に前を向く。
「で、でけぇ」
誰かがホブゴブリンのその巨体を見てそう言った。
ホブゴブリンが巨体の持ち主だと知っていても、この大きさを目の当たりにして驚かないわけがない。
それに、今目の前にいるのは推定5メートル以上はあるかなり大きい方の個体だからだ。
ゴブリン種はそこまで身長は高くないのだが、ホブゴブリンだけは異常で、どんなに小さい個体でも最低3メートルはある。
ただ、いつまでも慄いているわけにもいかないので、一旦みんなに下がるように指示を出す。
「みんな、一旦下がって距離を取る。どれだけ大きくてもホブゴブリンは遠距離攻撃をできないから、距離さえ取れば一方的に攻撃できるぞ」
俺の指示を聞くと、すぐさまホブゴブリンから距離を取るために入ってきた扉の方に向かって走る。
ホブゴブリンも追ってこようとするが、素早い動きは出来ないためどんどん距離が開く。
ある程度距離をとったら攻撃しても良かったのだが、背後から別の魔物が湧く可能性もあるため、入り口まで一気に行ってしまう。
壁を背にして戦えば背後を取られることもないし、一定の距離さえ取っていれば安全に攻撃できる。
俺はそれを狙ってみんなに入り口まで走るように追加で指示をした。
みんなが指示を聞き、入り口まで走り続ける。
入り口まで戻った時にはホブゴブリンとの距離もかなり開き、遠距離攻撃で一方的に倒せそうだった。
「よし、中陣、後陣はホブゴブリンに向かって攻撃開始。前陣は周囲の警戒と、ホブゴブリンの狙いを前陣に向けるようにするぞ」
エイゼはすぐさま魔法を唱え、ホブゴブリンに最初の一撃を与えた。
【エクスプロージョン】
どうもMontyです。
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