喜びと注意
カチッ...
エイゼが壁沿いを調べていると、偶然に謎のスイッチを見つけた。
「ラクト君、今のスイッチって何?なんか押したらマズイやつだったかな」
エイゼは心配気味に俺に聞いてきたが、その心配は一切ないことに気づいた俺はエイゼに安心するように伝えた。
「エイゼ、大丈夫だ。というか、ありがとな」
「え?それってどういうこと?」
「まあ、とりあえず隣を見てみろ」
俺の一言をエイゼは気にしながら、俺が指差したスイッチの隣の壁を見た。
その壁には、いつの間にか扉が現れていたのだ。
「もしかしてこれって、隠し部屋の扉だったりする?」
「ああ、おそらくな。リーザが言ったとおり、入り口近くに隠し部屋の扉があるとはな。とりあえず、みんなを呼ぶか。おーいみんな、来てくれないか」
「ラクトさん、どうしたんですか?もしかして...」
「ああ、そのまさかだよ」
その言葉を聴いた、リヤ、ケルフィン、リーザは喜び顔でこちらに向かってくる。
「これがその扉...。中には何が入ってるんでしょうか」
「さあな。まあ、とりあえず中に入ってみるか」
俺は、何かのトラップの可能性もあるため慎重に扉を開けた。
扉の向こう側は小さな部屋があり、その真ん中に宝箱があった。
「うわー、宝箱だ!」
リヤは宝箱を見つけると、考えなしに部屋の中に入っていく。
そしてそのまま宝箱に手を掛けた。
「リヤ、待てっ!」
俺は、リヤが宝箱を開ける前に大きな声を出し、リヤの動きを静止させる。
俺の大きな声を出されたリヤは驚いて動きを止める。
そして宝箱から手を離し、隠し部屋の入り口に立っている俺のほうを振り向く。
その顔は、おびえた子犬のような顔だった。
少し怒りづらかったが、ここでしっかり言っておかないと後で大変な目に遭うかもしれないので、今のリヤの行動に対して注意する。
「リヤ、何で俺が今怒っているのか分かるか?」
「はい。勝手な行動をしてすいませんでした。宝箱を見るのが初めてだったのでつい舞い上がってしまい...」
「俺だって宝箱を見るのは初めてだし、内心すごく興奮している。でもな、もし部屋に入ったり、宝箱を開けたりしたことが鍵となってトラップが発動したらどうするんだ。今回は何もなかったが、他の隠し部屋がどうなっているかなんて分からないぞ。まあ、何よりリヤに何もなくて俺は良かったけどな」
ダンジョンの宝箱に関するトラップで死んだ人なんていくらでもいる。
俺はここのダンジョンが比較的安全だと知っていたが、今後別のダンジョンに入ったときにトラップにひっかっかたら大変なので注意した。
でも、本当にリヤが無事でよかった。
「よし、安全そうだし開けてみるか!」
俺は周囲を確認し安全を確保したあと、隠し部屋に入り宝箱に手を掛けた。
どうもMontyです。
今回も、最後まで読んでいただきありがとうございました。
また、誤字脱字等ありましたらご連絡ください。




