棄権と点滅
「今すぐ棄権した方がいい」
先生は、そう伝えた。
そう言われたグループのリーダーは、仲間に目をあわせてから答えを出した。
「分かりました。俺たちはここで棄権します」
その意見に、俺たちのグループからも、彼のグループからも異論は出なかった。
「じゃあ、お前たちは俺と一緒に地上に戻るぞ。エイゼたちのグループは進んでもらって構わない」
「分かりました」
エイゼは短く言葉を交わし、先生とともに戻っていくグループを見送った。
その後、第三階層に下りる階段に向かった。
「棄権してよかったんだよね、あの人たちは」
その途中、リヤが俺たちに向かってそう聞いてきた。
確かに、第二階層という上層で棄権してしまうと、得点をあまり得られなくなってしまう。
だが、これは仕方のないことなので、リヤにしっかり言っておくことにした。
「リヤが言っていることは間違っていないと思う。でも、あの先生が言っていたように、無理をしたらどうなるか分からない。それに、あの数のシャドウウルムに囲まれたら、今後魔物に合うと、恐怖で戦えなくなっちゃうかもしれない。だから、今はこうするしかないんだ」
「そう...だよね」
俺に言われて納得したようだが、どこか悲しげだった。
多分、同じクラスメイトとして、棄権者を出したくなかったのだろう。
そのため、リヤ自身に非は一切ないのだが、自分を責めてしまっているのだろう。
だが、こればかりは、俺たちにはどうにもできないことだった。
そのまま階段を下りていき、見慣れた扉を前に準備をしていた。
エイゼも、いつもの流れでスタンプを押していた。
みんなの準備が終わろうとしていたタイミングで、視界が点滅したような感じになっていた。
他のみんなも同じようで、リヤ、ケルフィン、リーザは少し驚いていた。
この原因を知っている俺とエイゼは、特にあわてなかった。
その後、点滅が消えると同時に、視界が真っ暗になった。
その直後に、エイゼはフラッシュボールを発動させて、この状況の説明をした。
「みんな、あわてなくても大丈夫よ。これは、ナイトビジョンが切れただけだから。今からもう一度掛けなをすから待ってて」
エイゼはそう言うと、すぐに魔法を唱えて俺たちの視界を確保してくれた。
「ナイトビジョンは、切れる直前に視界が点滅するんだ。だから、すぐにナイトビジョンを掛けるからね」
その一言で、いきなり視界が奪われる心配がなくなった。
俺たちは準備を終えると、扉を開けて第三階層に足を踏み入れた。
どうもMontyです。
今回も、最後まで読んでいただきありがとうございました。
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