黒い狼と群れ
ヴィシュヘル第一階層の扉を開け中に入った俺たちは、暗闇の中を灯り一つで進んでいた。
すると、俺たちが視認できないところから気配を感じた。
なので、唯一の灯りである光属性の初級魔法のフラッシュボールで照らしてみると、光に反射した赤い目が見えた。
「みんな、魔物だ!エイゼ、フラッシュボールをもう一個作れないか?」
「作れるけど、中級魔法でここら辺を一気に照らしちゃうね」
【ライトニングボール】
エイゼがそう唱えると、さっきまで光っていたフラッシュボールが消え、その代わりにこの辺り一帯を昼間かのように照らす大きな発行する玉を出現させた。
この魔法は、光属性の中級魔法の一つで、初級魔法のフラッシュボールの上位互換の魔法、ライトニングボールだ。
この魔法により、俺たちはいつもどおりの視界を取り戻した。
そのおかげで、先ほど目に光が反射していた魔物の姿を確認することができた。
「なあ、ラクトさんよぉ。あれって狼じゃないか?」
ケルフィンがそう言ったように、その魔物の姿はまさに狼そのものだった。
ただ、普通の狼とは全く違う箇所が一つあった。」
それは、狼のからだの色だ。
野良で居る狼の色は白や灰色がメインなのに対して、この狼の色は黒。
魔物は、黒いものが多いため間違いないだろう。
たしか、黒い狼という魔物は、魔物に関するまとめ本で見たことがあるぞ。
名前は、シャドウウルムだったはずだ。
「みんな、あいつはシャドウウルムだと思う」
「え!シャドウウルムですか!じゃあ、周囲の警戒もしないといけないですね」
リヤはそう言って、弓矢を構えながら辺りを見渡した。
リヤが周囲警戒をしたのには理由がある。
シャドウウルムというのは、単体では弱い魔物だ。
適当に初級魔法を当てれば死んでしまうだろう。
だが、こいつは魔物の中でも厄介なほうとされている。
その理由は、集団で行動する性質だ。
この世界では、戦争時に魔王軍が召還したシャドウウルムが駆逐されずに何匹か逃げ出してしまい、長い時間を掛け繁殖してしまっている。
繁殖したシャドウウルムたちは山などに住み着き、山の周りの集落などに危害を及ぼしている。
そのため、討伐隊が組まれたのだが、立地条件上大量のシャドウウルムが山の上から襲ってくるために苦戦しているのだ。
もしこの場に10匹以上のシャドウウルムが居たとしたら、一瞬にして辺りを包囲されてしまうだろう。
俺達も辺りにシャドウウルムの仲間が居ないか確認した。
「仲間が居ました!」
リヤがそう言って、シャドウウルムの後ろを指差した。
シャドウウルムの後ろには、さらに4匹のシャドウウルムが居たのだ。
どうもMontyです。
今回も、最後まで読んでいただきありがとうございました。
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