新たな目標と学校生活
入学式が終わると、新入生たちは教室に戻っていった。
俺とナイル先生は、その流れに合わせて保健室に戻った。
戻っている最中、ナイル先生は一言も話しかけてこなかった。
おそらく、俺の気持ちを察してのことだろう。
だとしたら、とてもありがたい。
保健室に戻ると、座っているように指示されたので、座って待つことにした。
しばらくして、ナイル先生は戻ってきた。
「この後は、それぞれクラスに戻ってホームルームの予定になってるから。ラクト君も、自分のクラスに行って。体調は大丈夫そうだし」
「本当ですか?なら、教室に行こうかな?」
「うん、そうしなさい」
そう言われた俺は、保健室の入り口に向かって歩いた。
「じゃあ、色々ありがとうございました。失礼しました」
「じゃあまったねー」
最後にそんなことを言った先生を俺は見ながら、しっかり扉を閉めた。
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教室の扉を開けてみると、俺を除いたこのクラスの全員がいた。
その中に、エイゼの姿もあった。
どうやら、同じクラスの様だ。
エイゼは俺が入ってきたことに気づくと、手を振って声をかけてきた。
「あ、ラクト君!怪我のほうはもう大丈夫なんだ。良かったね。あと、これから卒業までよろしくね!」
この学校は、卒業まで3年間学ばないといけない。
その間、クラスごとに行動することが多いため、団結力がリセットされないように、クラス替えが無いのだ。
つまり、今ここにいる人たちと一緒に、3年間生活することになる。
なので、どんな人がいるかを確認するために教室全体を見回した。
教室の中には、話をしている者や読書をしている者が多い気がする。
それに対して、エイゼは静かに座っていたようだ。
ある程度見回した後、俺は自分の席を確認しそこに向かって歩き出した。
偶然なのか何なのか、俺の席はエイゼの隣だった。
俺が席に座ると、エイゼが俺が来るまでに何があったのか話してくれた
話の内容を要約すると、みんなが教室に戻ってから自己紹介が行われたらしい。
そこで趣味が合う人を見つけ、今一緒に話したりしているのだろう。
だとしたら、こんなにきれいな容姿のエイゼが、クラスの中で1人でいたのだろう。
そう思って聞こうとした俺だったが、その前にエイゼ本人が答えてくれた。
「何で私が1人でいるのかって思ってない」
「何でそんなことが分かるんだよ」
「簡単だよ。私がこういう状況のとき、みんなおんなじ顔をするからだよ」
「それだと言い方的に、何度も同じ状況になってるみたいだな」
「そうだよ。こういうことは、小さい頃から良くあったんだ。何か私がやったら、こんな風にみんなから嫉妬されて、みんなの輪から外されるんだ」
「でも、お前はまだ何もしてないだろ」
「したよ、『新入生代表挨拶』をね」
「確かに新入生代表挨拶は、入学テストで1位の人がやることになってるからな。入学式で代表挨拶をしたエイゼの事を見て、嫉妬心を抱いたやつもいたかも知れないな。でも、それだけでこんな状況になるか?」
入学テストで1位なんて毎年いるはずだ。
だったら何で、エイゼだけがこんな扱いを受けているのだろう。
エイゼは、俺の質問に答えてくれた。
「多分、私のことについて知った人がいて、それを広めたんだと思う」
「なるほどな。確かにエイゼについて知ったら、広めて省こうとするな」
「え、もしかして私のことについて知ってるの?」
「ああ、ナイル先生が話してくれた」
「それで、どう思ったの?」
「聞いた最初のときは、確かに嫉妬したよ。けど、どうしても仕方ないことがあるからな」
「そっか、ありがとう」
「え、何でお礼なんて...」
ガラガラガラ...
『何でお礼なんて言おうとしてるのか』と聞こうとしたら、教室の扉が開いた。
「よし、みんな席に着け。まずは自己紹介からだな。俺の名前は、ダストル・ゼルギアスだ。これから3年間、お前らの担任をすることになった。よろしくな。早速だが、ホームルームの時間を使って校舎の案内をするから、廊下に並べ」
ダストル先生にそう言われた俺らは、全員廊下に出た。
その日は、学校の紹介などで一日が終わった。
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一通り紹介が終わった後、それぞれ寮に帰宅となった。
今日は色々あったが、ひとつ決めたことがあった。
それは、『自分らしく学年1位になる』だ。
これを目標に、これから3年間頑張っていこうと心に決めたのだった。
「明日からの学校生活、がんばるぞい!」
どうもMontyです。
今回も、最後まで読んでいただきありがとうございました。
また、誤字脱字等ありましたらご連絡ください。