構成と鋭い目線
思わぬ収穫を得た俺は、教室に戻り、エイゼたちにこのことを報告することにした。
扉を開け教室に入ると、エイゼの席で何人かが固まっているのが分かった。
そこにはリヤもいた。
俺が近くまで行くと、リヤが気づいたようで手招きしてきた。
「ラクト君、この2人が昨日言った私の友達だよ」
そこには2人の女子がいた。
1人は女子にしては身長が高く、がたいが良い。
もう1人は、身長が低めの子だ。
エイゼは2人に自己紹介を済ませていたようなので、俺も自己紹介をすることにした。
「ええと、俺の名前はラクト・ベルメスです。よろしく」
「うん、よろしくね。僕の名前はケルフィン・シュタイナー」
身長が高い方の子は、まさかのボーイッシュなタイプだった。
あんまりコミュ力が高く無い俺からすると、相手をすると疲れるタイプの人だ。
「え、ええと。わ、私の名前はリーザ・シャゼルです。ど、どうぞよろしくお願いします…」
もう1人の身長の低い子は、内気なタイプっぽいな。
「じゃあ、2人は俺たちのグループに入るってことでいいの?」
「もちろんだよ!」
「も、もちろんです」
これで、なんとか課題試験のグループを作ることはできたが、大変なのはここからだ。
それぞれの役職を決めて、立ち回りなどの確認をしなければならない。
授業が始まるまでまだ時間はあるため、俺は早めに決めようと言うことを提案した。
「それは構わないけど、私は先に先生にメンバーの報告をしてくるわ。話は先に進めてもらってて構わないから」
エイゼはそう言って職員室に行った。
「じゃあ、私達である程度のところまでは決めておきましょうか。ラクトさん、パーティー構成ってどんなのがいいんですか?」
「そうだな。今回はダンジョンだから、前陣2人、中陣1人、後陣2人の構成でいいかな。前陣には、近接武器を扱うのが得意な人が必要になってくる。俺は前陣をやるから、もう1人の欲しいな。だれか、近接武器を扱えるのはいないか?」
「僕は使えるよ。小さいときに、軽く教わったからね」
予想はしてたけど、やっぱりケルフィンか。
俺より戦力になるだろうから、居てくれると助かるな。
次に中陣を決めるとするか。
「次に中陣だけど、弓が使える人が適任だ。だれかいる?」
「私、できます!」
そう名乗り出たのはリヤだった。
おそらく問題はないだろう。
最悪、矢を飛ばす力が無くても、魔力を使って操ることもできるし。
最後は後陣だ。
「最後の後陣は、魔法が得意な人が適任だね。エイゼは確定として、もう1人はリーザになるけど大丈夫?」
「ラクトさん、心配しなくても大丈夫ですよ。なんてったって、リーザちゃんは魔法実技の順位か、エイゼさんに次いで2位だったんですよ!」
リヤは、リーザに代わってそう言ってくれた。
「リーザ、それって本当?」
「う、うん。え、エイゼには敵わないけど」
大丈夫だ、この学年でエイゼに敵うのはいないから。
ともかく、パーティー構成は無事に決まった。
前陣での近接担当が、俺とケルフィン。
中陣の弓担当がリヤ。
そして、後陣の魔法担当がエイゼとリーザの最強コンビ。
これなら、上位間違いなしだろう。
俺は、この時安心しきっていた。
しかし、鋭い目線を向けられていることに、ラクトは気づかなかった。
どうもMontyです。
今回も、最後まで読んでいただきありがとうございました。
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