助け船と情報
「あのー、ちょっといいですか?」
俺とエイゼは声のした方を向くと、1人の少女が立っていた。
「もし、今回の課題試験のグループメンバーが決まってないなら入れて欲しいなーって思って」
どうやら、俺たちのグループに入りたくて声をかけてきたらしい。
メンバーが足りない俺たちとしては別に断る理由が無いため、彼女のことを歓迎した。
「もちろんいいですよ。私はエイゼ・クラリス、よろしくね」
「俺はラクト・ベルメスだ。よろしく」
「は、はい。私はリヤ・エイズっていいます。こちらこそよろしくお願いします」
俺はその名前に聞き覚えがあった。
確か、最初の課題試験で初めの方に発表していた人の1人だったはずだ。
シンプルなエンチャントのみだったが、魔法の才能は確実に俺より上のはずだ。
中間考査の魔法実技でも、俺よりかなり上だったし。
とりあえずメンバーは3人になったが、まだあと2人必要なので、どうするかエイゼに相談しようとしたが、リヤと色々話していたため諦めた。
俺はエフの方を見てみたが、もうグループを作り終えたらしい。
そのまま10分ほど経つと、2人が話し終えて俺に声をかけてきた。
「とりあえずリヤさんがメンバーになったけど、あとの2人はどうする?」
「そうだな。早めに決めておきたいが、俺たちにはつてがないからな」
俺とエイゼが悩んでいると、リヤが助け船を出してくれた。
「あ、あの。私、仲がいい人が2人いるから、入れてあげてもらえないかな?」
「マジか!もちろん大歓迎だ。エイゼはどうだ?」
「私もよ。今その2人って教室にいる?」
「ちょっと待ってね」
リヤはそう言うと、辺りを見回した。
「うーん、居ないみたい。でも、まだグループを決めてないって言ってたから、確認してみるね」
「ありがとう、リヤさん」
「いいよ、気にしないで。同じグループの仲間なんだから。あと、別に呼び捨てでも大丈夫だから。じゃあ私は、2人のことを追ってみるね」
リヤはそう言うと、荷物を素早くまとめて教室を出て行った。
「メンバーの方はなんとかなりそうだな。あとはダンジョンに関する情報と、それぞれの役割だな」
「役割は全員が集まってから決めるとして、ダンジョンの情報はこれで足りるかしら?」
エイゼはそう言いながら、さっき配られた資料を取り出す。
「おそらく、そこに書いてあることは最低限のことだろう。試験を有利に進めるにはもっと情報がいるはずだ。とりあえずは、俺の部屋にある本を漁ってみるよ。エイゼも、何かあったら言ってくれ。情報のまとめとかはやるから」
「わかった、よろしくね」
今日はそのまま解散することとなった。
どうもMontyです。
今回も、最後まで読んでいただきありがとうございました。
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