新たな敵と帰還
「マーズちゃんは私が連れて帰るわね」
そう言って目の前に現れたのは謎の女だった。
見た目は女性にしては長身で、長い青髪が特徴だ。
そんな彼女が言ったのは、マーズを連れて帰るという衝撃的なことだった。
もちろん先生がそんなことを許すはずがなく、女性に真っ向から対抗していった。
「そんなことさせるわけがないだろ。というか、マーズを連れて帰るということはお前も魔王軍の関係者だろ。おとなしく捕まるんだ」
そういって、先生は水属性のエンチャントがされたダガーを取り出した。
すると謎の女性は動揺することなく、こちらに話しかけてきた。
「降伏なんてするわけないじゃない。というか、あなたいい物もっているわね。でも残念、私にそれ効かないから」
「どうせハッタリだろ。いいから降参するんだ」
「全く言うことを聞かない子ね。仕方ない、せっかくだし自己紹介するわ。私の名前はマーキュリー。こいつと同じ元属性神で、現在は魔王軍幹部の1人。あなたも聞いたことがあるはずよ、水属性のマーキュリーの名は」
この女性は、自分のことをマーキュリーといった。
マーキュリーというのはマーズと同じ属性神の1人で、水属性魔法を司っている。
属性神には、自分が司っている魔法や、その魔法がエンチャントされた武器でのダメージを無効化する能力が備わっていると、昔読んだ本に書いてあった。
さらに、今は魔王軍幹部だとも言っている。
魔王軍幹部なら、魔族の能力も備わっているため、近接攻撃が一切通じない。
もしこの女性の言うとおりだったら、先生が装備しているダガーは一切意味を持たない。
しかし、この女性がマーキュリーだと確信させるものが一つある。
マーキュリーについて書いてある本にはすべて共通している内容がある。
それは、長身で長い青髪の女性だということ。
彼女は、それにぴったり当てはまっている。
おそらく、本物のマーキュリーであることは確かだろう。
先生もそれに気づいたらしく、諦めてダガーをしまった。
「やっと理解できたのね。じゃあ、ここらでお暇させてもらうわ。じゃあねー」
そう言ってマーキュリーはテレポートを発動させ、マーズごとどこかに消え去ってしまった。
「くそっ!」
先生は悔しがっていたが、こうなった以上学園長のことが最優先だ。
俺たちが急いで学園長の元に戻ると、エイゼのひざの上で寝ていた。
「おじい様はマナ切れで寝てしまいました。どうやら、マーズには逃げられしまったようですね」
「すまんなエイゼ」
「気にしないでください。とりあえずいったん学園に戻りましょう」
エイゼの提案にしたがい、俺たちはいったん学園に戻ることにした。
どうもMontyです。
今回も、最後まで読んでいただきありがとうございました。
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