安全確保と天界
マーズと学園長による最終決戦が始まろうとしていたとき、あたりは静まり返っていた。
先ほどまで聞こえていた鳥の鳴き声も全く聞こえなくなり、そこはまるで無の空間のようだった。
そこにたたずむ2人の男。
俺から見て左には魔王郡幹部のマーズ、右には魔道学園の学園長であるロイル・クラリスがいる。
2人はそれなりに距離をとり、互いに見合っていた。
そのとき、マーズが学園長に話しかけた。
「なあ爺さん、一ついいか?」
「なんだ?」
「俺は今から神級魔法を使うんだが、こいつらに被害が及ぶかもしれないからちょっと対策をしてもいいか?」
「もちろん構わないが、対策といっても何をするんじゃ?」
全くもってその通りだ。
おそらく、現状でマーズの魔法を防げるのは学園長のみ。
さらに、俺たち3人とマーズたちとの距離は、戦いの様子を見るためそこまで離れていない。
そんな中、俺たち3人が戦いの様子を見ることができる場所でかつ、被害が及ばない場所などあるのだろうか?
学園長の質問はこのことを伝えようとしているのだろう。
それに対してマーズは、思いもよらぬ返答をしてきた。
「簡単な話だ。3人を上に連れて行けばいいんだよ」
「確かに上なら安全だろうが、今のおぬしにそんなことができるのか?」
「大丈夫だ。上には昔の知り合いが何人かいるから、きっと許可してくれるはずだ」
そういってマーズは、俺たちの目の前から姿を消した。
それはあまりにも一瞬なことで、俺たちの目には瞬間移動しているようにしか見えなかった。
そして、1分も満たないうちに戻ってきた。
「許可は取ってきた。よし、お前ら行くぞ」
マーズそう言うと、俺たちの周りに淡い光が発生した。
これは俺が一度見たことあるものだった。
無属性魔法のテレポートだ。
「1人なら瞬間移動みたいなことができるんだが、さすがに2人以上はちゃんと魔法を発動させないと運べないな。じゃあ爺さん、もう少し待っててくれ」
そう言った後に、マーズは魔法を唱えた。
【テレポート】
光が抜けていき視界が晴れていくとそこには、何もない世界が広がっていた。
「あんまり下の人間を連れて来ちゃダメなんだが、今回は特別だ。ここが天界。俺が属性神時代をすごした場所だ」
ここが天界、まさか生きてるうちに来れるとは思いもしなかった。
てか、属性神辞めて魔王軍に手を貸してるヤツが天界に戻ってきても大丈夫なのかよ。
ほんとにこの世界は何でもありだな。
どうもMontyです。
今回も、最後まで読んでいただきありがとうございました。
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