国の管理と介入者
「先生がそんなことをしていたなんて。それって本当なんですか?」
そう言って先生に質問したのは、やはりエイゼだった。
思ったのだが、こういったときに最初に質問するのがエイゼに定着してきた。
エイゼは意外と感情的なのだろうか。
そんなことより今は先生の言っていることが本当かどうか確かめるのが先だ。
俺とエイゼは先生のほうを見て答えるのを待った。
先生は少し気まずそうな顔をしながら、数分沈黙を続けた。
さすがにこのまま黙り通すことは不可能だと思ったのか、ついにしゃべりだした。
「その通りだ。魔道学園は俺たちが生活している、このアシュタによって管理されているのはお前らも知っているはずだ」
『アシュタ』は俺たちが今住んでいる国だ。
アシュタは、マーズが言っていた戦争でフォルトガナと戦った国だ。
「アシュタに管理されているということは、俺たち教師の生活もアシュタによって管理されているということなんだ。アシュタの魔法育成担当が俺のことを気に入らなくなったらいつでも捨てることができるのが現状だ。だから俺は、魔道学園の教師をしながら担当に指示されたことにしたがって行動していた」
ここまでの話を聞く限りは、先生は仕方なくやっていたように聞こえてくる。
だが、俺たちもそう簡単に納得するわけには行かないので、もう少し話を聞いてみることにした。
「本当は魔法を使えない人たち、通称無力者に対する差別行為などはしたくなかったんだ。特に、お前たちとおんなじくらいの子供たちを傷つけるときが一番苦痛だった。たかが魔法1つ使えないくらいで、生活にこんなに差が出るなんてあまりにもひどすぎた」
先生の話は、今の俺たちにとってあまりに残酷すぎた。
エイゼは絶えられなくなり話の途中から耳をふさいでいたが、先生の訴えかけるような声に対しては意味を成さず、結局全部聞いてしまったようだ。
俺たちがどうしたらいいのか迷っていたとき、マーズが先生に話しかけた。
「よく隠していたことを言えたな。それに関してはほめてやる。だが、少し言い出すのが遅かったな。最初から全部言っていれば何もしなかったが、これは罰を与えないとな」
そういうと、マーズ手に魔力を集中させ魔法を発動しようとさせてきた。
その魔法は、明らかにエイゼの上級魔法より威力が高そうだった。
おそらくあれは絶級魔法だろう。
マーズの魔法が最高まで強化されると、そのまま魔法を放とうとした。
「マーズよ、それ以上わしの教師と生徒たちをいじめてくれるな」
いきなり話しかけられたことに驚き、マーズは魔法を解除した。
「なんだ爺さんか。脅かすなよ」
俺たちも声がしたほうに視線を向けると、そこにはロイル学園長が立っていたのだ。
どうもMontyです。
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