戦争と一方的な死
路地裏での話を聞いてから2週間後、戦争が始まった。
戦いの場所には、両国の境にある大きなリポルジカと呼ばれる平原が選ばれた。
そして、丁度太陽が頂点に達したと同時に戦いの火蓋が切って落とされた。
序盤は良く見る近接武器での戦闘が多かったが、中盤あたりになると両軍は魔法を使い始めた。
使われている魔法は初級魔法ばかりで威力はそこまでではなかったが、両軍の兵士の数が大差なかったため逆に被害が大きくなってしまっていた。
しかも、いつもならある程度の損害まで達すると戦争が終わるはずなのだが、何故か今回の戦争ではそうはならなかった。
互いが今回こそは勝とうとし、いかなる損害が出ようとも諦めようとしなかったのだ。
戦争は長引き、次第に激化していった。
初級魔法が飛び交い、それによって魔法が使えない者で構成された歩兵部隊が倒されていった。
魔法の射程は弓矢よりもはるかに長く、魔法使用前まで最強と言われていたロングボウ兵までもが意味を成さなくなっていた。
戦争が始まって数時間後、両軍の魔法部隊を除くすべての兵士が死んだ。
その数は3000人にも及んだ。
そこからはまさに魔法合戦だった。
両軍の魔法部隊がほぼ同数だったため、放たれた魔法は相手の魔法に打ち消されるのを繰り返していった。
炎と水がぶつかり合い水蒸気を生み、土と風がぶつかり合い辺りが土煙が覆った。
それによって視界が遮られたときに、両軍の魔法兵のマナは完全に尽きてしまった。
そこで今回の戦争は終了し、両軍は武器などを回収し自国に戻った。
唯一リポルジカに残されたのは、誰が誰なのかわからなくなり平原の上に放置された両軍の死体の数々だった。
俺はこの光景を見て思った、『これが正しい魔法の使い方なのだろうか』と。
人間は常により良いものを求めようとするために様々なことを行う。
それは盗みや騙しなどの1対1でのことから派閥対派閥など様々だ。
それの1番規模の大きなものが戦争なのだろう。
もちろん戦争をすれば少なからずとも犠牲が生まれる。
他の国の人を殺してまで何かを得ようとしているから、それに対して犠牲が出るのは当たり前だと思うし人間も分かってるはずだ。
戦争に参加した全ての人に犠牲を受ける確率があるべきだと俺は思う。
だが、今回の戦争だけは違った。
魔法を使えるものは生き残り、そうでないものは敵軍の魔法によって一方的に殺された。
これではまるで、魔法を使えないものに価値がないように思えてくる。
この戦争を境に、人間による魔法の悪用が増えていったのだ。
どうもMontyです。
今回も、最後まで読んでいただきありがとうございました。
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