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属性神と魔法の使い道

魔王軍幹部マーズ。


こいつは俺たちの目の前に現れるとそう名乗った。


俺はその名前に聞き覚えがあった。


この世界には有名な話が2つある。


1つは魔王封印に関わる三英雄の話。


もう1つはこの世にある魔法を造った神様、その名も属性神に関わる話しだ。


属性神は全部で7人いて、それぞれ火属性、水属性、風属性、土属性、光属性、闇属性、無属性のそれぞれを担当している。


マーズというのは火属性の属性神の名前だ。


もちろん2人もこの話を知っていたようで、とても驚いていた。


だが、たまたま名前が一緒なだけで全くの別人ということもあるので、先生は半信半疑でマーズと名乗る男に質問した。


「お前はもしかして、属性神のマーズ様なのか?」


「たしか、そんな呼ばれ方をされたときもあったな。だが、今は魔王軍の幹部だ」


「なぜ、属性神様ともあろうお方が魔王軍の幹部などになられてしまったのですか?」


こういったのはエイゼだった。


エイゼの言っていることは正しい。


本来属性神は、魔法を正しいことに使っている我々人間の味方だったはずだ。


それなのが、悪事を起こすだけでなく世界まで滅亡させようとしている魔王軍の味方をするのはおかしいはずだ。


俺はエイゼに続いて質問してみた。


「なぜ属性神様は魔王軍などの味方をしておられるのですか?我々人間のように正しいことに魔法を使う者の味方をしてくれるのではないのですか?」


「ああそうだ。俺は魔法を正しいことに使うヤツの味方だ。だから魔王軍の味方をしているんだよ」


「それでは魔王軍が私たちよりも魔法を正しいことに使っているようではないですか」


「お前の言う通りだよ。今の世界では、人間よりも魔王軍のほうが魔法を正しいことに使ってる。そんなことも分からないのか」


「当たり前です。私たち方が正しいに決まってます」


「じゃあ、お前たちが勉強しているのは何だ。攻撃魔法だろ。俺様だって元神だ。地上のことぐらいは大体知っている。お前たちが通っている魔道学園(マジックアカデミー)では攻撃魔法について学んでいるのだろう。もともと攻撃魔法という言葉は人間が作った言葉であろう」


確かに、攻撃魔法というのは人間が作った攻撃に特化した魔法の総称だ。


それがどうかしたのだろうか。


「ここまで言っても分からぬか。せっかくだ、ここまで来た貴様らに少し昔の話でもしてやろう」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



あの頃は丁度三英雄が魔王を討伐して5年ほど経ったころだっただろうか。


少しずつ人口も増え始め、主要都市にやっと活気が戻ってきた。


俺たち属性神は人間と距離を置いていたわけではないので、たまに下界に下りて魔法に関する様々な手伝いをしていた。


本当は魔王との戦いに参加できていればもっと被害が少なかったのかもしれないが、創造神様に止められて見ているだけしかできなかった。


その日は晴天の快適な気温の日だった。


いつも通り魔法の適正者に初級魔法を教えたあと、街をゆっくりと散歩することにした。


主要都市といっても魔王復活前と比べたら小さく人も少なかったが、とても平和だった。


歩き始めて少し経った頃に、裏路地から声が聞こえてきた。


盗み聞きするつもりはなかったが、神は見た目はあまり人間と変わらないが基本的な能力は人間の数倍あるため、話が聞こえてきてしまった。


「なあ、隣国のフォルトガナと戦争するって聞いたんだけど本当か?」


「ああ、どうやら2週間後にやるらしい。しかも魔法兵の参加もありらしいぞ」


「マジかよ!でも、魔法兵ってそれなりに魔法が使えるヤツ達だろ。俺も適正はあるけどあんま使えないんだよ。てか、戦争なんか参加したくないし」


「それがさぁ、国でマナを他の人に分け与える技術の開発が進んでいるらしくて、完成までもう少しらしいんだよ。だから、魔法が使えなくても適性さえあればマナ目的で連れて行かれるかもしれないぞ」


「もう俺、戦争終わるまで隠れていようかな」


これ以上裏路地の近くにいると怪しまれるので離れることにした。


その後、さっきの話を整理するために天界に戻ることにした。


天界への扉は、四つの国の中心にあるメルクロスというとても高く険しい山の頂上にある。


俺は扉をくぐり天界に戻ると、魔王との戦いの前にあった戦争について思い出した。


魔王との戦い以前は、魔法は神から与えられし神聖なものであり、人間同士での戦争では用いらないという決まりがあった。


戦い後は、すべての国が復興で忙しくなったため戦争は起きなかった。


だが、ここ最近は生活が少しずつ安定してきたこともあり新たな領地を求め、各国が戦争の準備を始めた。


戦争は基本的に1年から2年のうちに一回程度となっている。


その理由としては、連続で戦い続けるとどちらの国も戦力を失ってしまうからである。


そろそろ戦争が起きるころだとは思っていたが、戦争に魔法を使うと聞いて驚いた。


しかも、他人のマナを他の人に分け与えるという、一歩間違えれば人の命さえ奪ってしまうような技術まで開発してしまっているという。


はじめの内は国対国の戦争で魔法が使われるようになっていったが、徐々に国内でも魔法を使った争いや悪事が広まっていった。


このころから、属性神は人間に対する信頼を失くしていったのだった。









どうもMonty(モンティー)です。

今回も、最後まで読んでいただきありがとうございました。

また、誤字脱字等ありましたらご連絡ください。

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