意識の復活と初めての魔力
リヤさんが昔からの仲だけとは思えないほどケルフィンさんのことを心配しているのは、5年前の『人為的魔法能力覚醒実験』の中であった出来事に関係しているのだろう。
このパニックの仕方的に落ち着かせるのも簡単そうではないから、急いでケルフィンさんに治癒魔法を掛ける。
治癒魔法が属する水属性魔法は私が得意とする魔法ではないが、結構前にナイル先生に効率的な治癒魔法の使い方を教わったのでそこそこ自身がある。
最初に急いで見て分かる傷を修復していく。
本当はきれいに治したいところではあるが、今はラクト君とリーザちゃんの二人だけであの闘牛の相手をしてもらってるからあんまりゆっくりしすぎるわけにはいかない。
皮膚の修復が終わったら、次に内側に治癒魔法を掛ける。
このとき、問題の箇所が分かっていないときは両手で魔法を発動させて頭と心臓に魔法を掛けるのが最も効果的とナイル先生が言っていた。
言われたとおりに魔法を掛け続けると、一瞬ケルフィンさんの指がピクッと動いたのが分かった。
このとき、このやり方が効いているのを確信しさらに魔力を手のひらに集中させていく。
数分後、何とか魔法が効いてくれたのか無事にケルフィンさんの意識が戻った。
「うー...けるふぃんー...しんぱいしたんだよ...」
無事に意識が戻りパニック状態から戻ったリヤさんだったが、これはこれで泣き続けていた。
「ごめんな、リヤ...」
そんなリヤさんの頭をよしよししているケルフィンさん。
なんとも中むつまじい光景になったわけだが、この戦場という空間が意識を現実に引き戻した。
突如、闘牛の魔物のけたたましい足音が響き渡る。
その音に反応した私が振り返ったときには、闘牛の角とラクト君の剣がぶつかりあって今度はフロア中に激しい金属音が響き渡った。
しっかりとその状況を見ていたわけではないので何が起こったのかわからなかったが、ラクト君のことを力でねじ伏せようとしていた闘牛が一瞬にして消え、直後に真っ白な砂煙が私たちとラクト君たちとを遮る。
闘牛が消える瞬間に今まで感じたことのない魔力を感じたが、それを気にする余裕はなかった。
「2人とも!ここで待ってて!」
こう一言だけ言い残すと、直前までラクト君とリーザちゃんがいた方向と今感じ取れる2人の魔力を頼りに風魔法を使って私は進み始めたのだ。
どうも!Montyです!
超連続での投稿になりますが、これで初めてのダンジョン攻略編のエイゼ視点は終了です。
ここからは、この章のクライマックス部分になります。
次の話は睡眠の関係上何時間後になるかは分かりませんが今日のお昼までには出したいと思います!
それでは、急ぎですがここからのクライマックスの部分もお楽しみください。




