3人での偵察と魔王軍幹部の恐怖
エイゼと別れた後、俺は1度部屋に戻って動きやすい格好に着替えようと思った。
部屋に戻ったら、エフに『どこ行ってたんだよ』とか聞かれそうで怖かったが、部屋の中には誰もいなかった。
リビングまで行くと、机の上に書き置きがあった。
『学校が休みになったから友達の部屋に行ってくる。あと、朝早くから出かけていったぽいけどこいったんだ?帰ったらお前がどこ行ってたのか聞かせろよ』
予想通り、俺がどこに行ってたのか聞こうとしているらしい。
まあ、ただ学校に行ってただけなんだけどな。
これから行く場所については流石に言えないけど。
自室に戻り動きやすい格好に着替えた後、少し早いが部屋を出て正門に向かった。
正門に着くとやはり誰もいなかった。
まあ、集合時間の30分前だからな。
そのまま20分程度待っているとエイゼがやってきた。
「ラクト君早いね、まだ10分前なのに。どのくらい前から待ってたの?」
「20分くらい前からだけど」
「そ、そんなに前から!どれだけ暇してたの」
「いや、部屋にいてもやることなかったし。それに、ルームメイトが戻ってきたら色々厄介だし」
「そうなんだ。(厄介なことについては触れないほうがいいよね)」
そのまま2人で3分ほど待っていると先生がやってきた。
「なんだ、もう来てたのか。お前らのことだから5分前に来ると思ったから、それより少し早めに来たんだがな。まさか先に来てるとは思わなかった」
まあエイゼみたいに10分前に来るなら分かるが、30分前に来るのは早すぎるよな。
次からは多少厄介なことになっても、ゆっくり行くか。
「じゃあそろったことだし、そろそろいくか」
そう先生が言うと、そのまま坂を降りて行った。
俺たちも後に続いていく。
そのまま真っ直ぐ降りて行き、坂の中央辺りまで行くとエイゼが入学初日にあったことを話した。
「そういえば、ここら辺でラクトが倒れちゃったんだよね。なんかよくわからない爆発がしてたけど、あれの原因ってなんだったんだろう」
「確かにあの爆発ってなんだったんだろうな。以外と近場で爆発してたから、この辺に何かあるのかもな。てか先生、その時の爆発で学校に被害はなかったんですか?」
「あの爆発の威力は凄まじかったが、魔道学園には特殊なバリアが張ってあって、外からの魔法攻撃の全てを遮断する仕組みになってるんだ。だから、直接的な被害はなかった。幸いなことに朝早くに爆発したため、お前以外の被害もなかった。にしても、何でお前はあんなに早く来たんだ?エイゼがいなかったら死んでたかもしれなかったのにな」
「いや、その日は学校が楽しみでテンションが上がっちゃって...」
「お前は冷静なとこもあるけど、たまに子供みたいな行動をするよな」
「そ、そんなことないですよ。それよりさっさと行きましょうよ」
「ああ、そうだな。といっても、そこを曲がった先だけどな」
先生が示した方向には、山の中へと入って行く横道があった。
「この道を進んで行くと目的地に着く。ここからは少し登り道になるがな」
先生が言った通り、この道は少し登り道になってた。
といっても、学園までの道のように急ではないけど。
そのまま道なりに5分ほど進んで行くと、急に気温が上がってきた。
「先生、少し暑くなってきた気がするのですがこのまま行っても大丈夫なんですか?」
「エイゼの言う通り少し暑くなってきたな。まあ、これは目的地までもう少しっていうサインだ。ほら、見えてきたぞ」
先生が言った方向に目を向けると、そこはまさに焼け野原だった。
「報告通りの焼け野原だな。衛兵はここに入っていって殺されたらしい。この範囲外に出てきた報告はないが、一応気をつけておけ。じゃあこっちに行くぞ」
先生は道を外れ、急な坂がある獣道を進んでいった。
獣道を進んで行くと、すぐに先生が止まった。
「こっち来てみろ。ここからなら焼け野原がよく見えるぞ」
先生に言われた通りに行ってみると、そこは焼け野原が一望できる場所があった。
焼け野原は見事な円形になっていて、だいたい直径は5キロほどと、とても大きなものだった。
するとエイゼが何かに気がついたようで、先生に報告していた。
「先生、焼け野原の真ん中に誰か居ます。よく見えませんが、多分あれがこの焼け野原を作った犯人だと思います」
エイゼが言った方向を見ると、今にも逃げ出したくなるほどの大きな力を持った何かがいるのは分かった。
だか今は焼け野原の端にいるため、あいつの正体は詳しくはわからない。
「先生、ビジョンアップを使ってもいいですか?」
そう言いだしたのはエイゼだった。
ビジョンアップというのは、自身の視覚の能力を極限まで高めるというものだ。
エイゼはそれを使い、あいつの正体を詳しく調べてようとしているのだ。
「よし、じゃあ頼む」
先生がそう言った後、エイゼはビジョンアップを発動させた。
【ビジョンアップ】
エイゼがそう唱えて10秒ほど経った時、あいつが近づいて来ているのがわかった。
「先生大変です。あいつが凄まじい速度でこっちに向かって来ます」
「なに!よし、急いで撤退する...」
「おい、お前らどこに行こうとしてる」
先生が撤退命令をしようとした時、俺たちの真後ろから声が聞こえて来た。
俺たちは同時に後ろを振り向くと、そこには巨体の男がいた。
そして男はこう名乗った。
「俺は魔王軍幹部のマーズだ。お前ら人間が俺様に何の用だ」
どうもMontyです。
今回も、最後まで読んでいただきありがとうございました。
また、誤字脱字等ありましたらご連絡ください。




