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笑顔の恐怖と空気の道

エイゼが泣きながらリーザのことを抱いているという、一見したらとても感動できるシーンなのだが、現状知りたいこともたくさんあるし、なによりもここは戦場のど真ん中だ。


この雰囲気の中だからこそ話しかけるのは少し心苦しいが、ずっとこうしているといつどこからあの闘牛が復活して襲いかかってくるか分からないため、やむ終えず声を掛ける。


「あのー、お二人さん?こんな状況で言うのもどうかと思うのですが、そろそろ話したいことがあるので一旦落ち着いていただいてもよろしいでしょうか?」


目を閉じてリーザのことを抱いていたため安心していたのか、俺が急に声を掛けるとビクッっと体を跳ねさせる。


その後、動きが止まったかと思いきや数秒後にリーザから手を離し、立ち上がってそのまま後ろに数歩下がる。


「なあに?ラクト君?」


いきなり九十度首を曲げてこちらを見てきたかと思えば、笑顔で声を掛けてくる。


(あ、これはやばい笑顔だ...)


前にも見たことあるやつだが、やっぱりエイゼのこのタイプの笑顔はマジで怖い。


こうなったが最後、前回同様下手に出てうまくおだてたりしなければ。


「冗談だよ、ラクト君!別に怒ってたりはしないから」


エイゼが怒ると場合によっては魔法を撃ってきそうなレベルで怖いのだが、今回は優しくなってて助かった...


「それで、何か聞きたいことがあるんでしょ?」


「うん、まあ。。とりあえず、リヤとケルフィンはどうなってるんだ。今エイゼ1人ってことは2人はどこかにいるはずだろ?」


俺とリーザがあの闘牛の魔物の攻撃を受ける前に、怪我を負っているケルフィンの治療にリヤとエイゼが当たっていた。


そのとき、俺の頭に一つの考えがよぎった。


その考えとは、最悪の内容だった。


学年最強のエイゼがそばにいたのだからそんなことはないと思うが、いくら最強といってもあくまで俺らの中で最強であって、この魔物がそれを超えてくるかのせいだってある。


一瞬にして体中に鳥肌が立つ。


表情もガラッと変わり、視界も昔のあの出来事を知ったときのようモノクロの世界になってしまった。


(どうしよう...どうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう)


頭の中がいっぱいになり何もできなくなる。


色々なことを考えはするが、広々とした空間にただぽつんと立っていることしかできなかった。


「ラクト君。今、何考えた?」


うつむいていた俺に声を掛けてくれるエイゼ。


「もしかして、最悪のことなんて考えていないよね」


俺は声を聴いた瞬間に顔を上げるとそこには、さっきのおふざけとは別の本当の怒りがそのまなざしから感じられる。


その目は、俺が視線を外すことさえ許してはくれなかった。


「ご、ごめん...」


俺は小さく声を漏らす。


エイゼは「はぁ」と小さく息を漏らし、力の篭った声で話し始める。


「確かに私は、天才だとか才能があるだとか言われてきたけど、結局はは子供でしかない。そんなことはすごく分かってる。だから何か起きても、後から自分に力が足りなかったと後悔することばっかだよ。でも...でも!絶対にみんなのことを死なせることはしない!たとえ自分が犠牲になってもね!」


この言葉を聞いて、すごく恥ずかしくなった。


途中でみんながばらばらになりそうだったときにあんなに色々言ったのに、自分は結局仲間から説教される始末。


ん?待てよ?


今エイゼが話した内容、どこか引っかかる気がする。


確か『自分を犠牲に仲間を助ける』的なことを言ってたよな。


ってことはもしや...


「なあエイゼ、その言い方的にやっぱり2人ともいるってことだよな?」


「うん、もちろん」


(やっぱりかよーーーー!確かに色々考えた俺が悪いけど、それならそうと早く言って欲しかった...)


「私があの状況で2人を闘牛に傷つけさせると思う?」


「思いません」


「だよね!」


なんかさっきから、というかここ最近エイゼに異様にからかわれてる気がするんだよな。


まあ、そこまで気にすることじゃないけど。


「俺のことをからかうのはいいけど、二人はどこなんだ?」


一周回ってこの質問に戻ったわけだが、いまだに詳しい答えは教えてもらえずにいる。


微妙にイラつき始める俺だったが、その様子を察してエイゼが本当の答えを教えてくれた。


「2人は、あそこにいるよ」


エイゼは手を向けて方向を示すが、周りがいまだに見づらくなっていて目に捉えることができない。


だが、途端にエイゼの手が光だしそれとともに風が発生した。


手から放たれた微量の風が真っ直ぐ突き進み、それとともに一直線の煙がない空間が生まれる。


その空気の道の生成が止まった途端、その先でこちらに手を振っているリヤとケルフィンの姿がそこにあったのだ!







皆さん!お久しぶりです!作者のMontyです!

今回も相変わらずのほぼ1ヵ月ぶりの投稿となりましたが、その分いつもの倍の量になっております。

さて、いきなりなのですが、この天才と平凡の魔道学園生活の投稿を7月いっぱいを持ちまして一時的に停止いたします。理由等細かなことは7月30日に活動報告を更新して説明する予定なのでそちらをご覧ください。それでは、確実に今月中にマジアカはあと二回更新するのでお楽しみに!

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