吹っ切れた心と壁への追突
闘牛の魔物がラクトのほうに向かって突進していく。
エイゼとリヤは負傷したケルフィンの様子を見に行ったため、その間の時間稼ぎ要員となった私とラクトだが、接近型のラクトはともかく、遠距離型の私が足止めできるかといわれると難しいと思う。
魔法の実技でエイゼについでクラス2位だが、私とエイゼの間には大きな差がある。
魔法における天才であるエイゼならまだしも、私の扱える魔法のレベルではそこまでダメージを与えるとはできないだろう。
むしろ、下手に魔法を使ったことでラクトの邪魔をしてしまうかもしれない。
頭の中に、そんな良くない考えばかりが渦巻いていく。
自分がどんどん闇の中に吸い込まれていくような感覚に陥っていく。
どんどん視界が狭くなっていくような気がする。
キーーーンッ!
すると突然、目の前からすさまじい金属音が鳴り響いた。
闘牛の角とラクトが構えていた片手剣がぶつかり合った音だ。
私はこの瞬間に目が覚めた。
こんな化け物のような闘牛と真正面から1対1でやり合って勝てるはずがないのに、ラクト君は私たち仲間のために奮闘している。
一切諦めようとはしていない。
この姿を見て、ついさっきまであんな弱気になっていた自分にうんざりする。
あの時、12階層で私はああ言ったのにもかかわらず、こうしていまだに仲間のことを信用できていなかった。
ここまで来て、仲間のことを信用せずにどうやって切り抜けるのかという話だ。
今はこの闘牛を1人でどうこう使用とは考えている余裕はない。
私は、ラクトが闘牛に吹き飛ばされそうになる瞬間、深くは考えず、ただこの場を切り抜けたいという思いで、杖を闘牛のほうにかざし魔力を注いだ。
その瞬間、私の目の前を真っ白な光が包んだ。
その光はほんの一瞬で、光のまぶしさに瞬きしたときにはもう消えてしまっていた。
ただ、消えていたのは光だけではなく、ラクトが直接相手をしていた闘牛もだった。
当たり前だが、ラクトはとても困惑している。
まあ、おそらくこうなったのは私が使った魔法によるものなのだろうが...
心の中ではとても驚いていたが、それを極力表には出さず、こちらを振り向いてきたラクトにグッドポーズをしてやった。
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リーザがグッドポーズをとっているのを見たあと、周りを見渡し闘牛を探していると、なぜかさっきまで目の前にいた闘牛が、俺から一直線上に少し離れ、後ろに立っていたリーザよりも後ろにいた。
しかも、物凄い勢いで壁に向かって突進していく。
まるで、ただひたすらに真っ直ぐに直進してきたかのように。
その闘牛は、目の前に壁があることに気が付くとすぐにスピードを落とそうと、前足と後ろ足をくっつけ、体重を後ろ足に掛けていた。
お察しの通り、とてつもない勢いで突き進んでいたため止まれるはずもなく、そのまま勢いよく壁に突っ込んだのだった。
どうも、Montyです!
いやー、マジでお久しぶりですね。
何とか少しずつやる気を取り戻してきたのでこうして投稿します。
話したいことは色々ありますが、それはまた今度...
※次回は妹クロのほうを更新いたします。




