闘牛と衝撃による攻撃
風魔法を使うと、風で煙を吹き飛ばすような感じで真っ暗だった視界が明るくなっていった。
半分賭けで言っては見たものの、まさかこんなにうまいこと吹き飛ばせるとは思ってもいなかったので驚きを隠せないでいる。
ただ、驚いているのは俺だけでなく魔法を放ったエイゼとリーザ、それに見守っていたリヤとケルフィンもだった。
やはり煙のせいで暗かっただけで、晴れると部屋全体の灯りは確保されていてナイトビジョンが必要ないほどだ。
部屋の明かりの源は、壁に設置されている光を放っている魔石だ。
風によって見える範囲も徐々に広がっていき、とうとう部屋の端まで見えそうになる。
するとそこには、おそらくフロアボスであろう魔物がたたずんでいるのが分かった。
その魔物からは、とどまることなく蒸気が湧き出している。
その魔物には、細い尻尾と真っ赤な皮膚でできている体と頭が付いている。
その魔物の頭には、とてつもなさそうな貫通力を持つであろう角が付いていた。
その魔物の姿を全体的に見てみると、何度も見たことのある姿がそこにあった。
一言で言うと、その魔物は『牛』だった。
その牛の姿はまさに闘牛そのもの。
あれと真っ向から勝負して勝てる気など、正直に言うと微塵もない。
こいつは、本当に協力しなければ倒せなさそうだ。
「みんな、最初のほうは牽制しながら様子を伺っていくことにするよ。とりあえずはケルフィンが注意をひきつけて他が周りから攻撃する基本的な動きで」
「「「「了解!」」」」
その一言の直後、ケルフィンが一歩前に出て他が散らばる。
フロアボス用の布陣を一瞬で整えると、ケルフィンが剣を抜く。
他の各々も、持ち合わせている武器を再度しっかりと持ち直す。
闘牛は足を高く上げ、今にも攻撃を仕掛けてこようとするのが分かった。
そのまま足を突くと、体重による衝撃が体に伝わった後、なぜかケルフィンが倒れ持っていた剣が吹き飛ばされていた。
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