夢の世界と眠りからの覚醒
視界の先に見慣れた扉があった。
ヴィシュヘルに入ってから幾度となく目にした扉だ。
しかし、この扉からは今までの扉とは違うまがまがしい雰囲気が感じられる。
俺が周りを見渡すと、さっきまで一緒にいたエイゼ、リヤ、ケルフィン、リーザの4人の姿が消えていた。
それに、それだけでなく今までの階層なら上の階層から降りてくるときに使う階段があるはずなのだが、それすら見当たらない。
完全に封鎖された空間で、唯一先に進むことができるまがまがしい扉。
俺はこのままいてもどうにもならないことを悟り、おそるおそる目の前の扉を開ける。
扉は、他の階層の扉と同じ感じで大きさに反して、さほど力をいれずに開く。
扉の先には、見慣れた暗闇の空間。
このどこまでも続きそうな暗闇の中で唯一の光源となっているのは、俺が左手にいつの間にか持っていた一本の松明。
この小さな光を頼りに、俺が暗闇の中に足を踏み入れると勝手に後ろの扉が閉じてしまう。
刹那、正体の知ることのできないものからの不意打ちで会心の一撃が俺に向かって放たれる。
当然避けることもできるわけもなく、敵の攻撃の威力そのまま閉じてしまった扉に体を打ち付けられる。
体に強い衝撃が加わり、急に意識が遠のいていく。
俺はそれに抗うこともできず、そのまま眠りに着いた。
それは、理解しがたい『死』だった。
「・・・トくん・・・」
さっき永遠の眠りに着いたはずなのに、どこからか声が聞こえる。
「ねえ、ラク・・・んってば」
この声の正体は、考えずとも分かる。
エイゼだ。
「起きて、ラクト君!」
そのエイゼの大きな声によって、俺は眠りから覚醒する。
体は仰向けのままだが、目だけはしっかりと開いている。
天井を向いた目線の先にはエイゼの顔がある。
こんな光景、ほんの数ヶ月前に見た気がする。
エイゼは俺が目を覚ましたことに気がつくと、俺の顔を除くようにしていた姿勢を解除する。
俺もそれに合わせ体を起こす。
その後右手に持っていた懐中時計を見て、現在時刻の確認をする。
現在時刻は12時18分。
俺が眠りについてから30分以上も経っていた。
周りにはエイゼを除いた3人が寝ていた。
エイゼは立ち上がり、3人の体を揺さぶりながら声を掛けて起こして回る。
俺はそのゆったりとした風景を見ながら、さっき見ていた夢のことを考え始めるのだあった。
どうも、Montyです!
今回もお読みいただきありがとうございます!
マジアカのほうも数日振りの投稿となってしまい申しわけありません。
とりあえず、今日これを投稿できて何よりです。
ストーリーもこれから進んでいくのでお楽しみに。
それでは次の話で。
※明日は妹クロを投稿予定です。
また、良ければブクマ、感想、評価等よろしくお願いします。




