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嫉妬への思いと勝利への貪欲さ

「エイゼ、ありがとな」


俺の口から最初に漏れた言葉はこれだった。


物理攻撃も水属性魔法も全く効かない強敵相手に苦戦を強いられていた俺たちだったが、そんな状況をたった一撃で打破してしまうほどの魔法を放ったのはエイゼだった。


エイゼが放ったネイルストーンは一瞬で2匹のトードを消し去っていく。


その光景を目にした時に、最初に浮かんできたのが驚きという感情。


そして、その驚きの感情が消えたと同時に別の感情が俺たち4人の中に湧いてきた。


その感情とは『嫉妬』である。


嫉妬を抱くのは人間的に仕方のないことの一つだ。


誰しも自分より優れている者を見て嫉妬することであろう。


でも、俺はその嫉妬が許せずにいた。


嫉妬をするということは、同時にそのことで嫉妬した相手に負けたことを示している。


俺は負けるのが嫌いだ。


何をしても平凡な俺は、何か小さな争いをした時勝ちと負けの比率がちょうど半々ぐらいだ。


勝つととても嬉しいが、負けると買った時の喜びの感情とは比べ物にならないほどの悔しさが心の奥底から湧いてくる。


でも、悔しがっているだけじゃあ何の意味もない。


悔しがっているだけで何とかなっているのなら、俺の父さんと母さんはあんな事になっていなかったであろう。


だからこそ、2度とあんな辛い思いをしたくないからいかなる分野でも勝ちを、頂点を目指してきた。


だから俺は、目の前に魔法の天才がいたとしても嫉妬などしていられない。


彼女から、何か一つでも奪えるものはないか。


どうしたら彼女に勝てるのか、などを考える。


そしてその考え、気持ちは、一歩前に踏み出すという形で表される。


エイゼは、俺の行動に一瞬驚くが、すぐにどこか安心したような顔を見せる。


俺はその顔を見ると、どうして安心しているのかが分かった。


それは、種類は違えど、俺が小さいときに味わったものと同じで、それを誰かの手によって救われたときの顔だったからだ。


俺はその顔を見た後、エイゼの目をしっかり見て一言言った。


「エイゼ、俺に魔法を教えてくれないか?」


その一言で、エイゼは両目から涙を一粒ずつ流しながら笑顔でこう言った。


「うん!」


俺は入学当初のクラスの雰囲気で、エイゼが他人の嫉妬に恐怖しているのが分かっていた。


だからこそ、俺はこう言った。


なんでも平凡な俺にできることはこれしかないと思ったから。


「三人とも、俺がやれることはやった。三人は何か言うことはないのか?」


俺がやりきった後に、後ろで嫉妬の目を向けていた三人にこう言う。


でも、三人からはいつの間にか嫉妬の目が消えていたので問題はなさそうだが。



お久しぶりです。

ようやくリアルのほうも少し楽になってきたので、投稿を再開したいと思います。

1週間も投稿をお休みしてしまい申し訳ありませんでした。

今後も、少ないながらも見てくださっている方々のために投稿を頑張りたいと思います。

よければ、感想、評価、ブクマ等よろしくお願いします。

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