部屋でのひと時と衛兵の死
召喚された魔物が現れたため、その日は授業を中断し全員下校という形になった。
いつもより早く帰れることになった俺は、部屋でのんびりしようと思い、寮へと歩む速度を上げた。
部屋に戻ると、すでにエフが帰ってきていた。
エフが俺が帰ってきたことに気がつくと、ダッシュで俺の目の前まで来た。
すると、
「おかえりラクト。早速だが昨日の夜の続きを聞かせろ!」
昨日の夜の続きとは、昨日あった課題試験においてなぜあんなエンチャントができたのか聞かせて欲しいと言って来たので、やったことそのまま説明したのだ。
すると、何か秘訣があっただの、エイゼと何があっただの色々聞いて来たのでめんどくさくなり、
「その続きはまた明日な」
と言って自室に戻ったのだ。
「なあ、今日は時間あるから色々聞かせろよ。どうせ何か隠してるんだろ」
また始まった。
このまま逃げても解決しないので、何度も特に何もなかったと説明した。
最初のうちは全く信じてくれなかったが、何度か言い聞かせるうちに信用してくれた。
まあ、そこに至るまでに1時間かかったんだけど。
結局この日は、説明に疲れて早く寝てしまった。
次の日、早く寝てしまった俺はいつもより早く起きてしまった。
このまま部屋にいてもやることがないため、いつもより30分ほど早く出発した。
そのまま学校まで何もなく、いつも通りの通学路だった。
教室に入るとすでにエイゼが来ていた。
「あ、おはようエイゼ。いつもこんなに早く来てるのか?」
「おはよう、ラクト君。今日は先生に呼ばれたから早く来たの。ラクト君も呼ばれたの?」
「いや、今日はたまたま早いだけだ。エイゼは呼ばれたとか言ってたけど何かあったのか?」
「ちょっと昨日の魔物についてね。本当だったら兄さんが対応することになっているのだけど、3年生は今魔法工学の課外授業でみんな1週間は帰ってこないから。で、会長である兄さんの妹の私が対応することになったんだ」
「なるほどな。で、対応って何するんだ?俺たちにやれることなんて限られてるだろ」
「多分、情報の整理とかだと思うよ。詳しくは先生に聞いてみないと分からないけどね」
そんな話をしながら俺は歩き、エイゼの横に座った。
席に座ってからは、雑談をしていた。
5分ほどすると教室に扉が開いて先生が入ってきた。
「すまんなエイゼ、少し遅れた。早速だが会議室に来てくれ、今回の件について色々話がある。ついでにラクトも付いて来い」
「え、俺もですか?」
「時間がないんだ。いいからさっさと来い」
そう言われた俺は、エイゼとともに会議室に向かった。
会議室の場所は学校案内の時に教えてもらっていたので、迷うことなくつくことができた。
そのまま会議室の扉を開けると、その広さに驚いた。
中には沢山の長机と椅子が置いてあり、その椅子の数は100をゆうに超えている。
だが、そんなにある椅子が全て埋まっていた。
「よし、来たか。説明をしてなかったが、これから昨日の魔物に関する会議が行われる。ここには先生だけでなく、近隣の人や近くの町の衛兵もいるから、くれぐれも騒がないようにしろよ。じゃあ、お前たちの席はそこの2つだ。」
先生はそう言うと、会議室の前の方に行ってしまった。
先生が言っていた席に座ると、すぐに会議が始まった。
「今回は、本校で召喚された魔物が出現したということで、このような会議を開かせていただきました」
そう言ったのは、ロイル学園長だった。
ロイル学園長は、そのまま話を進めた。
「召喚された魔物は、生徒たちが放った魔法にあたり墜落、そのまま我が校の教師がとどめを刺しました。その魔物は魔王軍幹部が召喚したものと思われ、生徒たちが下校した後に、周囲を衛兵によって調査させました」
なるほど。
そういうこともあって俺たちを帰らせたのか。
ルイロ学園長の話はまだ続いている。
「この調査結果は、教頭に確認しに行ってもらってます。つきましては...」
「学園長!ルイロ学園長!調査結果が分かりました。これは大変なことになりましたよ!」
そういって、学園長の話を遮って部屋に入ってきたのは教頭先生だった。
「そんなに急いでどうしたのかね、教頭先生?」
「そんなに悠長にしてられる分けないじゃないですか」
「分かったから、早く調査結果を報告しなさい」
「分かりました。調査結果を報告します。今回の調査で、森の一部が焼け野原になっている箇所を発見し、そこに衛兵五人を派遣しました。ですが、1時間後に衛兵全員が焼死体となって、森の入り口に捨てられていました」
それが、教頭先生の口から発せられた衝撃の調査結果だった。
どうもMontyです。
今回も、最後まで読んでいただきありがとうございました。
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