魔王との出会い3
魔法はどこにでもいる精霊達に、膨大な魔力と引き換えにあらゆる事象を起こしてもらうものだ。
まず、魔法は全属性の適性がないと発動が出来ない。これはもう才能だな。
次に、膨大な魔力がいる。けど、ただ膨大な魔力を持っているだけじゃダメだ。魔力を巧みに操るために経験が必要だ。
最後に詠唱。これは精霊達にどんな魔法を使うかを知らせる方法だな。
逆に言うとこれは相手にどんな魔法を使うかを知られてしまう事にもなる。
そのため、相手に聞かれないよう色々な対策が行われていた。
魔術は魔法を7つの属性に分け、短い詠唱や魔法陣を使って限りなく魔法に近づけた贋作だ。こちらは全属性の適性がなくても使いたい属性にあった適正があれば使える。
短い詠唱を使って発動させるソレの威力は魔法には到底及ばないが、かなり魔力量の消費を抑えることに成功した。
魔法と違うのは自分で魔力を操らなくても勝手に必要なぶんの魔力を吸ってくれるところだな。
魔法陣は地面に描く設置型が主流だが、紙に書いておく方法もある。紙に書いておけば、その紙に魔力を流すだけで魔術が発動する。(紙に書く方法は俺が開発した)
魔術は下から第7階級、第6階級、第5階級、・・・・第1階級まであり、さらにその上に特級魔術がある。俺が初めて転生した時代は第1階級、特級魔術の魔術や魔法を普通にポンポン撃って居たが、今では第5階級、第4階級が普通。凄くても第1階級だった。
これに気づいた時は『何だこの茶番は。昔の戦争を見ると今の戦争は子供の喧嘩のようだ。』と思った。
・・・っと、話が逸れたな。
「とまあ、これが魔法と魔術の違いだな。ってことでまずは魔術をマスターしようか」
「分かりました!」
「まずは短い詠唱の方をやってみるか。ちょっとステータスを見せてくれるか?」
「はい!師匠!ステータス、可視化状態オン!」
ーーーーー
名前
ユリウス・サタリン・デーモン
性別
M
職業
剣士
HP
745486
MP
5487
魔法属性
火・闇・無
魔法耐性
水・風・聖・無
スキル
称号
魔王国の王子
可視化状態
ON
ーーーーー
「こんなところです」
「・・・・・」
ユリウスは両手剣を使っているだけあって、HPがかなり高かった。だが、それだけだった。スキルがなく、何より魔法属性が3つしかない。魔法を教えてくれと言うからてっきり全属性の適性があると思っていた。
「うん、ユリウス。凄く言いづらい事なんだが・・・」
「はい?どうしました?」
ユリウスはまだ気づいていない様で無垢な瞳を向けてくる。
「お前は魔法を使えない」
「そんな!何故!?・・・ああ、そういう」
「そういう事だ。魔法は全属性の適正がないと使えない」
全属性の適性がなくても使える魔法はあるのだが今はまだ黙っておく。
「どうするよ?3つの属性を特級まで使えるようになるか?そうしたら誰も勝てないと思うぜ」
「・・・どれくらいかかりますか?」
「憶えるだけだったら10日もあればいけるけどあとは魔力量をどれだけ増やせるか、かな。魔力量は、毎日魔術を使っていけば勝手に増えていくからな」
「なるほど。ありがとうございます」ーーーーー
それから俺はユリウスに魔術のあれこれを教えていった。