魔王との出会い2
「強かったんだな。見た目はアレなのに。それに何だよ最後の!」
「おい、アレって何だよ・・・。最後のは俺の切り札の魔法だ。6段階あるけどな。」
今、俺たちは家に戻っている。さっきの闘いは何だったんだろう?
「本当に強いのですね。人族が魔人族を圧倒し、魔法を短い詠唱で発動できるなんて。ユリウスはあれでも同年代では上の方の実力なのに。一体おいくつなんですか?」
「肉体年齢?精神年齢?」
「へ?」
「だから、肉体年齢?精神年齢?どっち?」
「??どういう事ですかな?」
「実は・・・」
俺は転生スキルでもう何万年も前から生きている事を教えた。
「あああ!そういう事なのか!やっと謎が解けました。は〜そういう事なんですね〜。」
「? どういう事だ?」
「実はですね。私の生まれる前からあった謎があったんですよ。《ハイエスト・ジョブ》に記される名前はほとんどの場合、エルフや魔人族など、長命種の名前が記されるのですが、魔術師だけは人族の名前が記されるんですよ。これは恐らく全て転生してコロコロと変わっていくあなたの名前でしょう?」
「恐らくそうだと思う。人族のステータスでは俺より上のやつは居ないからな。人族以外に転生した時は職業を変えていたし。そもそも人族に転生する確率が結構高かったし。」
俺は魔人族や兎人族、獣人族など、人族以外に転生した場合、剣士や槍手、射手や戦士などを職業にしていた。この職業だとHPの伸びが良いからな。たまに魔物に転生する事もあったが・・・。竜族に転生したときは職業が竜になっていた。
「で、お前らここに来た目的から話が逸れてないか?」
「は!そうでした。で、どうですか?来てくれますか?」
「行ってもいいが、俺には何をしてくれるんだ?もしかしてボランティアで来いと?」
「ぼら・・・?何ですかそれ?」
「報酬無しってことだよ!」
「い、いや、報酬なら金貨100万枚ではどうでしょうか?」
「俺はエンシェントドラゴンと同価値か!」
エンシェントドラゴンは物理・魔法耐性が異常に高く、災害級に指定されている伝説の魔物だ。しかも何故か奴等は単独では行動しない。必ず2、3体で固まって動く。1体で行動する奴は逸れドラゴンと言われている。1体でも国の腕利き兵士が1万人居ても勝てるか勝てないか怪しい位強い。奴等の心臓を食べると不老不死となるらしいので、試しにひとくち食べてみたのだが、不老不死にはならなかった。その時残した死骸と心臓は俺の収納魔法の中で眠っている。血液は回復ポーションに使えるため、ハイポーション×1000本やエリクサー×100本に加工しているが。
「で、では金貨1億枚で!いかかでしょうか?」
「ふむ。良かろう。では、今後そちらに何かあったら伝えてくれ。俺が出向こう。」
「分かりました。ありがとうございます。では、お金は準備でき次第、念話で連絡しましょう。」
「それが良いな。あ!あと、そっちに転移魔法陣を設置して、ここにある魔法陣と繋げてくれないだろうか?万が一の避難場所にもなる。」
「分かりました。繋げておきます。」
「俺は人族だ。残っている寿命も少ない。けど、俺には転生スキルがある。だから俺が死んで、別の生物になっても、そっちに行っても良いだろうか?」
「ええ。歓迎しますよ。生まれ変わってもあなただとわかる証拠となる物、魔剣を贈呈しましょう。」
「助かる。では、気を付けて。俺がそちらに行くような事が無いよう祈っている。」
「はい。ありがとうございます。では、そのような事が無いように私共も頑張りましょう。」
そうして魔王様は魔王国へと帰って行った。・・・ユリウスを残して。
「おい、なんでお前はここにいるんだ?忘れられたのか?」
「・・・忘れられた訳じゃないぞ。僕が頼んだ。」
「何で?」
「今の魔王が死んだら、次は僕だ。だから、そのために僕は強くなければならない。それに、僕は魔法や魔術を使った事がない。だから、僕に魔法を教えてくれ。」
成る程、こいつは剣と魔法で魔法剣士を目指すんだな。
「んー、魔法を使うには膨大な魔力と長ったらしい詠唱、そして才能や長年の経験があって初めて成功する物だからな・・・。取り敢えず、お前はどれくらい魔術が使える?」
「全くだ!」
「いっそ清々しいな!」
「褒めても何も出ないぞ。」
「褒めてねえよ!」
ユリウスは手を腰につけ、折れるんじゃないかと言うほど仰け反っている。
「はぁ、取り敢えず魔術が使えるようになろうか。使えないと魔法なんて夢のまた夢だ。って訳で取り敢えず軽く説明してやろう。」