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浅葱色を求めて…  作者: 結月澪
長州の志士達
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抱きしめた温もり

「平助、被害妄想も大概にしてよね?」

う…

まるで、叱られた子犬の様な藤堂。


いや、あの、平隊士の前で何をしているんだ?

この人達は……


「あの、朝稽古は?」


「あーそうそう。佐々木がいなかったから呼びに来たんだよ。」


立ち直るのは早いんだね。平ちゃん。


「私も朝稽古行く。」


「ダメですよ!」


佐々木の突然の怒鳴り声。


「どうして、この子が、朝稽古に行ったらダメなの?」


副長助勤に怒鳴ってしまった佐々木。咄嗟の事だったのだろう。どうしよう…という顔をしている。


…あの……えっと……


「沖田組長と藤堂組長は、知ってるんですか?」


目の事か?


ニヤっと笑った沖田。中立な彼の顔がかなり、色っぽい。

なんか、ヤバイ気が、します。


「知ってるよ?ちぃちゃんの事ならーーなんでもね。」


そう言いながら、私の背後から抱きつく総ちゃん。

見せびらかすみたいに、右側の頬を撫でた。


「おい、総司!」


流石に、藤堂が止めようとしてくれるが、言うことを聞く訳がない。千夜が平隊士の前で

振り払う事はないと、沖田は知っているから。


「ーーなんでもって……」


うん。多分深い意味は無いと思うよ。総ちゃんの事だし


「総司!ちぃから離れろ!」

「イヤだよ。」

即答だし、


「右目、見えないなら、なんでここにおくんですか?」


ギュッと、総ちゃんの腕に力が入った。


「君に、何がわかるのさ?ちぃちゃんの何がわかる?

他の誰より、傷付きやすくて、泣き虫で、強がってるのに、真は真っ直ぐで太い、自分のことは何時も後回しで、

右目見えないのに、平気なフリして、

夜も朝も時間があれば稽古する。

人が傷つくなら、自分が傷つけばいい。

そういう子なんだ。ちぃちゃんは…


全部、————壬生浪士組の為なんだよ。」


「総司。」


千夜と沖田を引き剥がそうとしていた平助だったが、沖田の真剣な眼差しに手を離した。


「ーー壬生浪士組の為。組の為に?」



「さて、朝稽古行こ?」

どこまでもマイペースな千夜


「ちぃちゃん、今大事なとこ!」


なにが?首を傾げる千夜。


「人にどう見られてるのか、そんなの知らない。

私は私の信じた道を歩いているだけ。

自分が、後悔しない様に、ただ、それだけ。

だから、誰かに、無理にわかってもらおうとは、思わないから。」


そう言って千夜は笑った。

そして、その後、


「はーい、

三人共ビシビシ稽古しようね?手加減しないよー。」



ヒッっと、三人が恐怖に震えた。

千夜の指南は、副長助勤に対しては、容赦なかったそうだ。


「なんで俺まで…」


「連帯責任。平ちゃん、もう100回素振りする?」


「……嫌です。」


一方その頃、


土方歳三は、腕の中の温もりに安心しきっていた。

腕の中の温もりもまた、抱きしめ返してくる。

そろそろ起きなきゃなと、腕の中の温もりを見て、固まる土方。


ちぃだと思っていた温もりは、観察方、山崎烝のものであった。


「うわっ!」

「なんや?うわっ!」


山崎も、ちぃを抱きしめてると思っていたのか叫び声に近い声をあげていた。同じ布団で、双方固まった。


「山崎てめぇ、叩き斬ってやるっ!」


怒りのボルテージがMAXな土方。


「うわっ。何で俺やねん。

俺だって副長と抱き合って寝るなんて気持ち悪いわっ!」


「口に出すんじゃねぇー。吐き気がするわっ!」


スパーン!と襖が開け放たれ、

「はいはーい。そこまでですよー土方さん。」


とっても楽しそうだな……総司。


「山崎君も、朝から暴れない。」


「 どうしたの?」


何で暴れてるのかわからない、千夜は、ただ、見守るだけ。


「土方さんね、山崎君と抱き合って寝てたんだよ。」


「んなっ!」


何で知って、、、。


「ふーん。仲良いんだね?」


流石にみんなズッコケた。


何?


「「どこ行ってた?ちぃっ!」」


何で怒鳴られるのか?


「へ?朝稽古だけど?」


「いやですねー。

ちぃちゃんに当たることないじゃないですか?

ちゃんと隊務をこなしてた訳だし。」


「そうだぜ、二人は寝てただけなんだからさー」


ごもっともである。











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