表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
浅葱色を求めて…  作者: 結月澪
噂話し
49/281

揉める近藤派と芹沢派

さっきから、

この部屋の空気は重苦しい


この部屋とは、芹沢の部屋なのだが、12畳の広さのその部屋に、近藤さん達が来て、平間さんがお茶を運んでくるまで、窓開いてる?ってぐらい、空気が重苦しい。


決して、人数が多いとかではない。

まぁ、原因は、よっちゃんと芹沢の睨み合い。


「ちょっと!今から話をしようとしてるんだからさ、睨み合うのやめて。」


「ちぃ、何故、芹沢派に」


出たよ。


「あのさ、その芹沢派とか近藤派とか、同じ組みなんだからやめなよ。私はどっちかに着くつもりもないし、間違ってる事は間違ってるって言うよ。

組の中で派閥作ってどうなるの?協力出来ないわけ?」


まぁ、派閥が出来た理由ぐらい、私にはわかるけど…


「文久三年、つまり今年二月十日。芹沢が、大焚き火を起こした。それが、派閥の理由?」


「当たり前だっ!家、一軒分燃やしちまったんだぞっ?」


「知ってるよ。

清河八郎。全部あいつの策略

近藤さんに宿をとらせ、隙あらば暗殺してしまおうと企てた。だが、近藤さんに隙がなく、面白くなくなって予約した宿の亭主を脅し、予約をないものとした。」


「なるほどな…」


本当に、必要な事しか言わない奴だな…


「隙あらば暗殺って、知ってて殿内をにがしたの?」


「総ちゃん、この先、命なんていくらでも狙われるよ。

その度に、暗殺してたらきりがないでしょ?芹沢も同じ。現に今も狙われてる。

だけど芹沢は、殺そうとはしない。何故かわかる?

手にかけぬのは、情けでもなんでもない。

敵の動向をみるため。

それが、私が芹沢の養子になった理由だ。無意味に人を殺すだけが武士じゃない。確かに芹沢は、横暴で自分勝手だ…芹沢、近藤さん、派閥を作るのをやめろ。

色んな考えがある。人それぞれの思想がある。

当たり前の事だ。生きてきた境遇も育った環境も違うんだ。剣術と同じだ。色んな流派がある。

それと同じ様に色んな人間がいるんだ。思想を共有しろ。」


「そんな事出来るわけねぇーーーっ」

「よかろう。千夜。」


相反する答え……


そう。芹沢は、近藤さんを気に入っている。

口には出さないが、だから面倒なんだ。


「よっちゃん、芹沢は、近藤さんを認めている。

じゃなかったら、同じ組にいる訳がない。

もう芹沢は、長くないからね。」


長くはない。その言葉で声が出せなくなった俺。


「なるほど。千夜さんが芹沢さんの養子になった理由はわかりました。しかし、大焚き火。あれは、近藤さんを土下座まで追いやったんですよ?

近藤さんを支持する者から見れば、屈辱的な行動。」


そうではありませんか?と、言わん限りの山南。

大焚き火の事を、根に持っている。か。


そうだろうね。私も目の前で見た時はそう思った。


でも、


「屈辱的?あれは、近藤さんの誠意ある行動の間違いでしょ?自ら犯してしまった過ちを謝罪しただけ。

騙されていたとはいえ。ね。

近藤さんの誠意を踏みにじってまで、組を割る必要は、私には、あるとは思わないけど?

確かに、芹沢が大焚き火をした事を、私は良し。とは思わない。むしろ、悪いと思ってるよ。」


人々の叫び声。今でも忘れてなんてない。

あの、惨劇を、、、。


「でも、忘れてない?山南さん。

京に上洛し、組ができたのは、芹沢が居たからだ。


知ってる?芹沢は、江戸より病気を患っている事を

命をかけて組を作り上げた人間。


確かに、頑固オヤジで、横暴で、肝心な事は何一つ言わないけどね今、壬生浪士組があるのは、芹沢がいるからっ」


よっちゃんの顔が歪んだ、


そういう時代なんだよ。

よっちゃん、


農民は農民。町民は町民。武士は武士。

そういう風にしか生きられないのが、いままでの時代なんだ、実力があっても、のし上がる事が困難な時代。


「ちぃ。」


力ないよっちゃんの声。情け無い。


「近藤さんは、芹沢を認めてないと?」


そう言えば、よっちゃんを見ようとする近藤さん。

ハァ。よっちゃん頼りですか?


「あのよぅ。俺は難しい事はわかんねぇけど、

今、千夜が言ったのは、正論だと思うわ。」


新八さんが声を上げ、


「俺も、新八に賛成だ。男が頭下げた事を今更グチグチ言ってても何も始まらねーだろ。」


左之さんまでもが、賛同してくれた。


が、


「何言ってやがるっ!

芹沢さんよぉ、ちぃがついたからって、俺たちを丸め込めると思うなよ」


怒鳴るよっちゃん、


だから私は、どっちにもつかないって言ったのを忘れたのか?芹沢の後ろには新見と平間が、今にも刀を抜きそうだし、近藤さんの後ろに居た総ちゃんも刀に手をかけている。


屋根裏には、山崎の気配。

本当、話し合いと言うものが出来ない人達だ。

懐から取り出した拳銃。


もちろん打つ気すらない。威嚇だ。


「よっちゃん、ちょっと黙ってて。

いい?烝っ話し合いが出来ないなら打つよ。

さっさとおりるっ」


黒い忍び装束の烝がふってきて、両手を上げ降参のポーズ。チッっと舌打ちされる始末。


ハァ、本当面倒臭い


「近藤さんは、近藤勇は、どう思ってる?」


私は、そう近藤さんに言葉を投げかけた。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ