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浅葱色を求めて…  作者: 結月澪
噂話し
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芹沢の養子

私はまだ、壬生浪士組を離れる訳にはいかない…


よっちゃんがダメなら、近藤さん?いや、ダメだ。

よっちゃんに相談するに決まってる。


だったら、行くしかない。芹沢の元に…。



夕暮れ時、私は前川邸へ向かう


納得させる材料?

そんな都合のいい材料など持たないまま、私は覚悟を決めた。



**


「で?俺に話しとは?」


前川邸に入って、落ち着かない私を鼻で笑った芹沢。


「担当直入に言います。私を武士にして頂きたい。」


芹沢は、明らかに顔を歪めた。


「何を言うかと思えば、女子がーーー

「そう…私は女に生まれた。だから武士にはなれない。

ただ、女ってだけでね。」


芹沢の言葉を遮って言った言葉は、芹沢を黙らすだけの威力があった。


そう。女子が武士になれない。そんなもの誰が決めた?

男しか武士になれないって誰が決めた?


それはこの時代の当たり前の男女差別。


「女子に生まれたから、武士になれない。いくら剣術を磨いても、いくら銃を扱えても、隊士より強くても男はよくて、女は悪い。私は、好きで女子に生まれた訳じゃ無いっ!」


芹沢は、私の言葉に戸惑ったのか、鉄扇を開いては閉じるを繰り返していた。


「お願いします。芹沢鴨。

貴方の強さを、私に、分けていただきたい。

私は、貴方を誠の武士だと、そう、自負しております。」


「何故、今なんだ?

怪我も治ってからでも遅くないだろう。」


「そうだぜ。姫さん。

今は、身体を治して、ゆっくりーー


「ゆっくりとなんて、してられないのっ!」



千夜の声が、その場に響き、彼女は突然、畳に三つ指をつき、頭を下げた。


「お願いします。貴方が背負うもの全てを

私が代わりに背負える様、強くしてください。」


「姫さん、どうして、そこまで…。」



どうして?みんなの夢が詰まった、壬生浪士組。

そして、その土台を作ったのは他ならぬ、芹沢鴨。

近藤派が、芹沢派を嫌っているのは重々承知。

でも、私は、この男を凄いと思ったんだ。


「全ては、壬生浪士組の為に。」


フッと笑った芹沢鴨。


「そうか、お前は、———知っているのだな。」

俺の命の灯火が、あと僅かしか、灯ってはくれないことを…


「はい。」

「そうか。」


千夜の姿を見て、鉄扇をパチンッと閉じる。


「一つ問う。———お前に、覚悟はあるか?」

その問いに、千夜は芹沢と視線を合わす。


「もちろん。覚悟は、とうに、出来ております。」


揺るぎない、その瞳に


「わかった。お前に、俺の全てをくれてやる。」


ニヤリと笑ったまるで悪代官の芹沢


私は、その日、芹沢の養子になった。


その翌日から、私の生活は、一変した。
















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